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Microsoft、時価総額でApple抜く 1年4カ月ぶり首位交代

(更新)

【ニューヨーク=中山修志、シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトの時価総額が29日、米アップルを抜いて米企業で最大となった。前日発表した決算が市場予想に届かなかったアップルの株価が下落したためだ。半導体をはじめとする供給面の制約への耐性の差が、およそ1年4カ月ぶりの首位交代をもたらした。

マイクロソフトの株価は29日の終値で前日比2.2%高の331ドル62セントだった。QUICK・ファクトセットによると、終値ベースの時価総額は約2兆4900億ドル(約283兆円)。一方でアップルの株価は1.8%安で引け、時価総額は約2兆4600億ドルとなった。

マイクロソフトは2018年11月に8年ぶりに時価総額でアップルを抜いたが、20年7月以降はアップルが首位に返り咲いていた。今回の交代のきっかけになったのは、サプライチェーン(供給網)の制約が業績に及ぼす影響の違いだ。

アップルは28日、7〜9月期に供給制約による売り上げ機会の逸失額が約60億ドル(約6800億円)に達したと明かした。4~6月期の約2倍の額で、部品を調達しきれず「iPhone」の売上高は市場予想を下回った。半導体不足の影響は長引いており、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は10〜12月期に「より大きな供給制約(の影響)が生じる」と警戒する。

かたやマイクロソフトの売上高は7〜9月期に22%増え、新型コロナウイルスの感染拡大以降で最大の伸び率となった。コロナ禍の特需の反動で伸び悩むIT(情報技術)企業が多いなか、4四半期にわたり増収率の上昇が続く。米国みずほ証券は決算発表後に「マイクロソフトの中期的な成長機会は多くの人が認識しているよりも大きい」と評価した。

同社も「Windows(ウィンドウズ)」の出荷先であるパソコンメーカーの供給制約を通じて、半導体や部品不足の影響を受けている。ゲーム機「Xbox」でも需要が供給を上回る状況が続く。ただ7~9月期の売上高の内訳を見ると、5割近くは「Azure(アジュール)」や「Office365」といった企業向けのクラウドサービスが占める。

クラウドサービスの売り上げ規模は直近4年で3.6倍になり、構成比では倍増した。パソコン市場の混乱が業績に及ぼす影響は薄まり続けている。サティア・ナデラCEOは26日の決算会見で「少なくともソフトウエアに関して、デジタル技術は(部品供給や人材面の)制約を克服する方法の一つになる」と話し、サービスの採用増につながる可能性すら示唆した。

29日の米市場では前日の決算で人手不足による業績影響を明らかにしたアマゾン・ドット・コムも売られ、インターネット広告が好調で市場予想を上回る業績を示したアルファベットは買われた。部品や労働力の供給制約の解消時期が見えないなか、相対的に影響の薄い企業を選好する動きが出ている。

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