ブラジルのコロナ累計死者数40万人 変異型で若年層急増

【サンパウロ=外山尚之】ブラジルで29日、新型コロナウイルスによる累計死者数が40万人を超えた。変異株の拡大により、若年層の死者が増加した。ワクチンの接種は進んでおらず、収束への道のりは遠い。
地元メディアが集計した。死者数は米国(57万人)に次ぐ2番目で、累計感染者数の1454万人は米国(3200万人)、インド(1800万人)に次ぐ世界3番目となる。足元の感染状況は第2波がピークアウトしてやや落ち着きつつあるが、死者数が30万人から10万人増えるのに要した日数はわずか36日と、20万人から30万人の時の76日から半減している。

事態悪化を招いたのが「ブラジル型」と呼ばれる変異ウイルスの存在だ。北部の工業都市マナウスを起源とする同ウイルスは今年に入りブラジル全土に拡大。若年層の感染や死者数が急増しており、各地で医療崩壊や死者の急増を招いた。リオデジャネイロなどの一部都市では、死者数が出生数を上回る状況となっている。
ブラジルでは、28日時点で人口100人あたりのワクチン接種回数は19.29回。ワクチン不足でたびたび接種が止まっている上、欧米製に比べて有効性が低い中国・科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が中心のため、感染抑止効果は限定的と見られる。
ブラジル政府は今後、ファイザー製のワクチンが輸入されれば状況は改善するとしているが、本格的に供給が始まるのは2021年後半とみられており、当面、厳しい状況が続く。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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