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米巨大IT規制、難路に Facebook訴訟で「門前払い」

独禁法改正の議論加速へ

反トラスト法を巡る訴訟は米フェイスブックの「1勝」で始まった=ロイター

反トラスト法(独占禁止法)を活用して米巨大IT(情報技術)企業の独走に歯止めをかける動きが難路に直面している。米首都ワシントンの連邦地裁が28日、米連邦取引委員会(FTC)などがフェイスブックを訴えた訴訟で、原告側の主張の多くを退ける判断を下した。現行法の限界が明らかになり、法改正の議論が加速する可能性がある。

「FTCはフェイスブックが独占企業体であるという社会通念に裁判所が黙ってうなずくことを期待しているかのようだ」。米首都ワシントン連邦地裁のジェームズ・ボースバーグ判事は28日に公表した文書で、FTCの姿勢を批判した。

FTCは2020年12月、大統領選で敗北した当時のトランプ大統領の退陣が近づくなかでフェイスブックを提訴した。米国の「個人向けSNS(交流サイト)」市場の60%超を握る同社が、買収で傘下に収めた画像共有アプリ「インスタグラム」などの運営部門を分離し、独占を解消することを求めた。

だが、連邦地裁は独占の根拠を十分に示していないと判断し、FTCが内部の反対意見を押し切ってまとめた訴状を棄却した。また、ニューヨーク州など48州・地域の司法長官も同時に提訴しているが、インスタグラムなどの買収が6年以上前に完了していることを理由に訴えそのものを棄却した。「門前払い」に近い結果となっている。

28日の連邦地裁の判断についてフェイスブックの広報担当者は「政府の訴状の欠陥を認識した内容で喜ばしい」などとコメントした。一方、米メディアによるとFTCは「選択肢を詳細に検討し、最良の方法について評価を進める」としている。

巨大IT企業は製品やサービスを無料・安価に提供することが多く、価格のつり上げや消費者の不利益を重視する反トラスト法では十分に対処できないと指摘されてきた。ただ、専門家の間でも「訴訟の初期でこれほど厳しい対応を求められることは想定外」(FTCのウィリアム・コバシック元委員長)との驚きが広がった。

FTCは30日以内に訴状を修正して再提出する指示を受けたが、米スタンフォード大学のダグラス・メラメド教授は「独占により支配力を強めている実態を正確に説明できなければ、公判に進んだとしても勝訴は考えにくい」と指摘する。連邦地裁の判断は競争当局への逆風となり、グーグルなどを対象とした訴訟でも独占の実態を示すことが大きな課題となる公算が大きい。

現行の反トラスト法の枠組みがデジタル時代に十分に対応できていない実態が浮かび上がり、米議会で進む法改正の議論を勢いづかせるのも確実な情勢だ。超党派の下院議員が6月中旬に反トラスト法の改正案を発表し、米下院の司法委員会は24日までに6本の改正案を可決した。

下院司法委のジェロルド・ナドラー委員長(民主)は28日の声明で、「反トラスト法の近代化が切実に必要なことを示している」と強調した。同委員会の反トラスト小委員会で筆頭委員を務める共和党のケン・バック議員も「有権者はすぐに問題を解決することを求めており、時間を無駄にできない」と述べ、党派を超えて法改正の機運が高まっている。

(シリコンバレー=奥平和行、ワシントン=鳳山太成)

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