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米中首脳、台湾巡り険悪な2時間 米下院議長の訪台案で

【ワシントン=坂口幸裕、北京=羽田野主】バイデン米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席による28日の電話協議は台湾問題で双方が従来の主張を展開し、平行線で終わった。急浮上したペロシ米下院議長の台湾訪問案を受けて緊張緩和に向けた流れは一転、米国が検討してきた対中関税引き下げ問題の議論も深まらなかった。

2時間20分ほどにおよんだ電話協議の主要議題は台湾だった。「台湾海峡の平和と安定を損なう一方的な現状変更の試みに強く反対する」。バイデン氏は台湾への軍事威嚇を強める中国に改めてクギを刺した。

習氏も「台湾独立に向けた分裂の動きと外部勢力の干渉に断固として反対する」と重ねて強調した。「火遊びは必ず身を焦がす。米国はこの点をよく認識することを望む」と強い表現を使って警告した。念頭にペロシ氏の訪台案があったのは想像に難くない。

両首脳の溝の深さは協議の形式からも垣間見える。お互いの顔がみえる3月のテレビ電話会議方式から一転、今回は電話でのやりとりにとどまった。中国外務省は当日になっても首脳協議の日程を明かさず、協議後にバイデン氏の要請を受けて応じたと発表した。

6月以降、米中は緊張緩和に動いていた。11月の中間選挙を前に歴史的なインフレを抑えたいバイデン氏は中国製品への制裁関税の一部引き下げ案を検討した。習氏にとっても秋に共産党幹部の人事を決める5年に1度の党大会を控え、悪化する経済を米国向けの輸出増でテコ入れしたいとの思惑が一致し、歩み寄る気配があった。

緊張緩和の雰囲気はペロシ氏の訪台案で暗転した。米メディアによると、ペロシ氏は29日にもアジア歴訪に出発する。旅程表では日本、韓国、マレーシア、シンガポールを訪れ、台湾は仮の訪問先としている。

現職の米下院議長の訪台が実現すれば1997年以来。下院議長は副大統領に次ぐ大統領継承順位2位の要職で、米国の台湾への強い支持が明確になる。

習氏は党大会での政権3期目入りに向けた体制固めに入っている。8月から長老らの意見を聞く「北戴河会議」が始まる見通しで、党の重要人事の調整が山場を迎える。中国にとって最大の核心的利益である台湾問題に焦点が当たったことで、米国との融和に動く選択肢は消えた。

首脳協議とほぼ同じタイミングで米下院が中国への対抗を目指す半導体の国内生産を強化する法案を可決したり、米軍がオーストラリアでアジア太平洋地域の軍幹部が参加する安全保障会議を主催したりしたことも中国側の警戒心を募らせた。

関税引き下げをめぐり、バイデン氏は中国の不公正な経済慣行について習氏に改めて懸念を伝えた。トランプ前政権は中国の慣行を理由に制裁関税を課した。バイデン氏はインフレ対策のために関税の引き下げを検討しているが決断しておらず、今後取り得る方策も明かさなかった。

協議ではすれ違いが続いた一方で、対話の窓口は維持する。バイデン氏と習氏は対面会談の調整を始める方針で一致した。2021年1月のバイデン政権発足後、2人は対面で会っていない。気候変動や感染症など協力できる分野で対話を継続する。

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