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バイデン氏、対中抑止へ「強力な軍事力を維持」

(更新)
バイデン米大統領はインド太平洋地域での軍事プレゼンスの強化に意欲を示す=ロイター

【ワシントン=永沢毅】バイデン米大統領の初の議会演説は中国への対抗意識を色濃く映す内容となった。トランプ前政権で毀損した同盟国との協調を立て直し、軍事力の中東からインド太平洋へのシフトをはじめあらゆる資源を対中競争に振り向ける方針を示した。対中包囲網の構築は実効性が問われる段階に移る。

「習氏ら専制主義者は、民主主義は21世紀には専制主義に対抗し得ないと考えている」「彼は本気で世界で最も重要で影響力のある国になろうとしている」――。バイデン氏は演説で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の名に複数回にわたって言及した。

米大統領が議会演説で他国の首脳の名をこれだけあげるのは異例で、それだけ強い危機感を映し出す。気候変動、税制、移民など大半でトランプ前政権からの転換を打ち出すバイデン氏にとり、対中強硬路線は前政権から継承する数少ない政策である。

その一環としての同盟重視の試みは実を結ぶ兆しがある。米調査会社モーニング・コンサルトによると、欧州やアジアの主要同盟国で米国への好感度はバイデン氏の就任から約3カ月で軒並み改善した。ドイツ(22ポイント上昇の46%)、フランス(17ポイント上昇の46%)、英国(14ポイント上昇の46%)など欧州諸国での信頼回復が目立つ。

米欧は中国による新疆ウイグル自治区での人権弾圧で足並みをそろえた。もっとも、中国当局者らへの資産凍結や渡航禁止にとどまっており、象徴的な意味合いが強い。米国には、欧州連合(EU)がバイデン政権の発足直前に中国と大筋合意した包括投資協定の見直しに期待がある。その動向は今後の米欧関係を占う試金石となる。

「米国はインド太平洋地域で強力な軍事力を維持する。これは紛争を始めるためではなく、防ぐためにだ」。バイデン氏は習氏にこう伝えたことを明らかにした。この対中シフトは、米国にとって最長の戦争となったアフガニスタンでの「テロとの戦い」に終止符を打つことが前提になる。

バイデン氏はアフガン駐留米軍を米同時テロから20年を迎える9月11日までに撤収させる方針を重ねて示し「20年にわたって米国は勇気と犠牲を払った。軍を帰還させるときがやってきた」と力説した。ただ、アフガンの治安は安定にほど遠く、米政権内にも撤収に懸念がくすぶる。

ロシアには選挙介入やサイバー攻撃で制裁を実施しながらも「事態をエスカレートさせるつもりはない」と秋波を送った。バイデン氏はプーチン大統領に首脳会談の開催を呼びかけている。米ロ対立に一定の歯止めをかけようと試みるのは、対中競争により力を入れる布石ともいえる。

イランや北朝鮮の核問題に関し、バイデン氏は同盟国と緊密に連携して対処すると訴えた。対北朝鮮政策の検証は最終段階にある。5月後半に予定する韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪米に向けて詰めの作業を進めるとみられる。

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