テスラCEO、中国の電力不足は「仮想通貨の採掘が一因」

【シリコンバレー=白石武志】米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は28日、中国で深刻化している電力不足について、「(大量の電力を消費する)暗号資産(仮想通貨)のマイニング(採掘)が役割を果たしてきたかもしれない」との見方を示した。電力不足は同社の取引先にも影響しつつあるが、電気自動車(EV)の中国生産については「非常にうまくいっている」と強調した。
米ネットメディアのヴォックス・メディアが主催する「コード・カンファレンス」に登壇して述べた。中国人民銀行(中央銀行)が9月下旬に暗号資産関連サービスを全面禁止すると発表したことについても、「多くの地域で電力が不足したことが原因の一つではないか」との持論を展開した。
中国当局が環境対策として石炭を主燃料とする火力発電の抑制に動いたことで、テスラや米アップル向けの部品を生産しているとされる台湾メーカーは9月下旬、中国内の工場の操業を一時停止した。テスラが上海市の工場で生産する車種への影響が懸念されているが、マスク氏は同工場について「中国向けだけでなく、欧州への輸出車両の生産も順調だ」と説明した。
マスク氏は仮想通貨の熱心な支持者として知られ、奔放な発言は「ビットコイン」などの相場にも影響を与えてきた。28日のイベントでは「暗号資産は根本的に中央集権的な政府の力をそぐことを目的としている」と指摘し、「彼ら(中国当局)はそれを嫌っているのだろう」と述べた。
仮想通貨をめぐっては、米国内でも規制論が勢いづいている。マスク氏は「政府が仮想通貨を破壊することは不可能だろうが、進捗を遅らせることは可能だと思う」との見方も示しつつ、米国政府に対しては「何もしないでほしいと言いたい」と語った。