/

FRB議長「個人消費、サービスも持ち直し」 会見要旨

(更新)
オンラインで記者会見するFRBのパウエル議長(28日)

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は28日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を開いた。パンデミック(世界的大流行)の打撃を大きく受けていた「飲食などサービス分野の消費も持ち直した」と述べ、米経済の回復が進んでいるとの見解を示した。主な発言と質疑応答は以下の通り。

きょう、我々は政策金利をゼロ近傍に据え置き、一定量の国債購入を維持すると決めた。金利とバランスシートに関する我々の力強いガイダンス(指針)と合わせて、金融政策が、経済が回復をなし遂げるまで強く支えることを保証するだろう。ワクチン接種の拡大と前例のない財政出動もあり、今年初めから経済活動や雇用指標は持ち直してきた。

家計によるモノの消費は確実に増え、住宅市場は経済が減速する前を上回る水準に回復した。企業の設備投資や製造業生産も増加した。飲食店を含むサービス消費も持ち直した。パンデミック(世界的大流行)の悪影響を最も受けた分野は弱いままだが、改善がみられる。

回復は想定以上に速く進んだが、一様ではなく完遂からはほど遠い。回復軌道はウイルスの抑制にかかっている。変異ウイルスの拡大に伴う新規感染数は依然として懸念されるが、ワクチン接種が継続すれば今年後半にも経済がより通常の状況に戻るだろう。

雇用は改善しており、3月は娯楽やホテルの分野で2カ月連続の雇用増がみられた。ただ同分野の雇用者数はパンデミック開始時の水準からは300万人下回ったままだ。失業率も6%で高止まりしており、労働参加率も低い。サービス分野で働く低賃金の労働者やアフリカ系米国人、ヒスパニック系の人が大きく雇用喪失の打撃を受けている。

物価上昇率は12カ月平均でみて、極めて低かったパンデミック初期の影響が取り除かれるため、近い将来2%を上回るだろう。経済再開に伴う消費回復に応じ、物価には上昇圧力がかかっている。特に供給制約があり、短期的に生産対応が制限されている場合がそうだ。だがこうした1回限りの物価上昇はインフレに一時的な効果しか及ぼさない。

FRBの危機対応は、米国人のために最大雇用と物価安定を達成するという我々の義務に導かれ、金融システムの安定化という責務に沿ったものだ。最大雇用は基礎的かつ包括的な目標だ。数年先に最大雇用を達成するには、長期的な期待物価上昇率が2%に固定されるかが重要だ。

声明で繰り返したように、物価上昇率が2%をずっと下回るようなら、我々はしばらくの間、2%を適度に超えるように目標を定めるだろう。雇用と物価目標が達成されるまで、我々は緩和姿勢を維持する。今年に物価上昇率は一時的に2%を超えるだろうが、それは我々の基準を満たさない。

我々は米国債の購入を少なくとも月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を同400億ドルのペースで買い入れる施策を続ける。我々の目標への道のりは長く、十分な進展が達成できるには時間がかかるだろう。我々は経済を支え、回復をなし遂げるまでに必要な期間、できる限りのことをする。

――資産購入を縮小する議論を始める時期はまだか。

「まだだ。議論すべき時期が来れば周知する。それまでは我々の目標に向けた進捗を注視する。経済活動や雇用情勢は回復をみせているが、本格回復までにはしばらく時間がかかる。ウイルスの抑制次第だ。多くの人々が集団で経済活動を再開する自信を持てなければ、景気の完全回復はありえない。労働市場も同様だ」

「金融政策の目標達成には、コロナの感染抑制において完全にと言わなくても大きな進展が必要だ。夏に再び感染が拡大したり、一部の地域で深刻になったりする可能性はある。感染抑制でかなり大きな進展が見られるまでは緩和縮小を検討することはないだろう」

「緩和縮小の議論に関しては(最大雇用と物価安定目標に向けて)さらなる大きな前進を遂げるまでという評価基準を明示している。見通しではなく、実際のデータを元に行動するつもりだ」

――完全雇用の達成前に期待物価上昇率が上がった場合はどうするのか。

「労働市場が非常に停滞した状態のままで、期待物価上昇率を高めるような持続的な物価上昇が起こる可能性は、ないとは言わないが小さい。むしろ完全雇用になった後に2%のインフレを達成する可能性が大きい。(雇用と物価の)2つの目標が矛盾するような状態になれば、解消のため様々な要因を考慮する」

――コロナ危機の経済への長期的な打撃をどうみるか。

「最も懸念するのが長期間失業した人々だ。長期の失業者が復職し、元の生活を取り戻すのはかなり難しいからだ。世代を超えて経営してきた中小企業も同様だ。こうした人々や企業が経済活動の場から不必要に締め出されてしまう可能性がある」

「完全雇用はまだまだ先で、経済はこれまでと異なるものになるだろう。技術の導入で従業員を減らすという企業を多く聞く。多くの労働者を雇っていたサービス業などで雇用が減ることが予想される。その分野の労働者が仕事のある生活に戻るには時間がかかり、支援を必要とする。失業者が可能な限り早く仕事につけることが重要だ」

――人手不足に直面する企業もある。

「様々な要因がある。企業が求めるスキルを持たない労働者は職が見つからない。学校が対面授業を再開しない状況で、子供の面倒をみるために職に復帰できない人がいる。もう退職したという人も多い」

「過去を振り返れば、人手不足の後には人々は労働市場に参加する。9月には失業給付の特例加算も終わる。数カ月かかるかもしれないが、いずれは労働市場の需要と供給は均衡するとみる」

――住宅市場が過熱しているが、バブルの懸念は。

「住宅価格は上昇しており、注視している。強い需要に起因するものだ。パンデミック前の住宅市場は(2008年の)金融危機前のそれとは異なる。大きな違いは家計の状況がより良好な点だ。住宅ローンの借り手はサブプライム(低信用)層ではなく、信用度の高い層が中心だ。住宅建設が追いつかず、初めて家を購入する人にとって難しい状況にはなっている。経済活動の強さの表れとみれば、良い材料だ」

――米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの運用失敗に絡む金融大手の巨額損失が相次ぐが、銀行の監督機関として規制を見直す必要は。

「アルケゴスに関しては金融システム上重要な問題ではない。『プライムブローカー』業務はよく理解されている取引であり、多くの企業がこうした事態に陥ったことは驚きだ。一部企業ではリスク管理の機能が止まっていたように見受けられ、注視している」

――ゲームストップ株のような混乱がみられるが、低金利と金融緩和が金融安定性に与える影響をどうみるか。

「多くの人が資産価格に注目し、株式市場に目を向けている。これは株式市場の『フロス』(細かい泡)を反映している。ただ我々は金融安定性の枠組みを守る。資産価格の一部は高値で、資本市場は少し泡立っているのは事実だ。金融政策と無関係とは言わないが、市場を主に動かしているのはワクチンや経済再開だ」

「大手金融機関の資本は充実しており、資金調達(が滞る)リスクは極めて低い。家計の状態は良好だ。財政政策で家計のバランスシートにお金を移したからだ。金融安定性は濃淡はあるが全体として均衡が取れ、制御可能だ。金融環境を緩和的にして経済活動を支えるのは適切で重要だ」

――中国は「デジタル人民元」の実用化に向けて動くが、米国がデジタル通貨で後れを取るリスクは。

「中央銀行がデジタル通貨を発行することは可能だが、それが人々にとって良いことなのか、金融システムのなかでどう機能するのかを理解する必要がある。中国のデジタル通貨は国外で機能するものというより、政府が取引をリアルタイムで把握し、中国の金融システム上で何が起きているのかを監視するためのものだろう」

「ドルはどの通貨よりも世界中で取引されている準備通貨だ。他国が先にデジタル化することへの心配はない。いつでもスマートフォンでの支払いができる環境下で、中央銀行のデジタル通貨の役割は何か。他国に合わせて急ぐよりも、こうした課題を踏まえて正しく実行することの方がはるかに重要だろう」

――FRB近辺でホームレスが増えている。訪問予定はあるか。

「まだその機会はない。メディアの関心が収まったら訪問するつもりだ。これまでホームレスの人々とは何度も話した。彼らの生活で何が起きているのか聞くことは良いことだ。彼らは我々そのものだ。多くは仕事についていたが、気がつくとホームレスとなってしまった。様々な側面を持つ非常に難しい問題で、必ずしもFRBがこの問題に対応する全ての手段を持ち合わせているとは言えない」

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン