バイデン氏、対中国「21世紀勝ち抜く」 初の議会演説 - 日本経済新聞
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バイデン氏、対中国「21世紀勝ち抜く」 初の議会演説

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【ワシントン=大越匡洋】バイデン米大統領は28日夜(日本時間29日午前)、上下両院合同会議で就任後初の施政方針演説に臨んだ。格差是正を最優先し「底辺を引き上げ、中間層を起点に経済を成長させるときだ」と宣言した。「21世紀を勝ち抜くため中国やその他の国と競争している」と表明し、中国に対抗する姿勢を鮮明にした。

29日で就任100日となるバイデン氏は新型コロナウイルスのワクチン普及などの成果を誇り「危険を可能性に、危機を好機に、後退を強さに変える」と強調した。「米国は再び動き始めている。世界を再び主導する」と決意を示した。同盟国と連携して気候変動など国際的な課題の解決を主導する方針を改めて打ち出した。

今後の経済政策運営で明確にしたのは、増税と歳出増を同時に進め、経済に強く関わる「大きな政府」への傾斜で成長をめざす路線だ。富める者が富めば貧しい層にも自然に恩恵がこぼれ落ちるという「トリクルダウン理論は機能しなかった」と断じ、トランプ前政権の減税路線を否定した。

経済政策の第1の柱は企業増税を財源にインフラなどに8年で2兆ドル(約220兆円)超を投じる「米国雇用計画」。2つ目は個人富裕層への増税で育児・教育支援に10年で1.8兆ドルを充てる「米国家族計画」だ。バイデン氏は「企業と1%の最富裕層に公平な負担をしてもらう」と語り、計4兆ドルの構想に超党派の協力を求めた。

バイデン氏は自身の経済構想を「ブルーカラーのための青写真」と称した。トランプ前大統領が20年2月の一般教書演説で自らの経済実績を「ブルーカラー好況」と誇ったことを意識し、前政権を支えた白人労働者層に対して支持を呼びかけた。

全般に内政に傾きがちな演説のなかでバイデン氏がもう一つ力を込めたのは、台頭する中国への危機感だ。

バイデン氏は「中国を含め、すべての国が世界経済のなかで同じルールで競う」ことが重要だと力説。中国が技術力で米国を急速に追い上げているとの認識を示し「次世代の技術で優位に立たなければならない」と訴えかけた。

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に「紛争を始めるためでなく防ぐために、インド太平洋地域で強力な軍事プレゼンスを維持する」と伝えたことも明かした。

1月6日の米連邦議会議事堂の襲撃事件が象徴するように、民主主義は危機にある。バイデン氏は「民主主義がまだ機能していることを証明しなければならない」としたうえで、中国やロシアを念頭に「専制主義国家が未来を勝ち取ることはない。米国は勝ち取る」と語った。同時に、人種や地域などで深まる米国内の分断に対しては「機会の扉を開く。公正と正義を保証する」と呼びかけた。

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