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Amazon、スマートホームで攻勢 積極投資に寡占懸念も

【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムは28日、スマートスピーカーなど10種類を超えるハードウエア新製品を発表した。米消費が盛り上がる年末商戦に一斉投入し、家の中の様々な機器がつながるスマートホーム市場で攻勢に出る。一方でこの分野における積極的な投資は、新たな寡占の懸念も引き起こしている。

「この仕事の醍醐味は未来を生きられることだ」。アマゾンが28日にオンラインで開いた新製品発表会。登壇したデバイス・サービス担当のデイブ・リンプ上級副社長は音声人工知能(AI)技術「Alexa(アレクサ)」を軸とする同社のスマートホーム製品の広がりに胸を張った。

家の中を走り回って警備する小型ロボット「Astro(アストロ)」を披露した2021年のイベントとは異なり、今年は多くが既存商品の改良だった。それでも新製品の数は10種類を超え、アマゾンのハードウエア事業の着実な進化を印象づけた。

例えば健康管理端末「Halo(ヘイロー)」シリーズでは、睡眠管理に特化した「Halo Rise(ヘイローライズ)」を発表した。各種のセンサーで睡眠中の呼吸や体の動きを検知し、睡眠の質を示すグラフなどをスマートフォンに表示できる。

アマゾンのスマートスピーカー「エコー」をヘイローライズと連携させることで、お気に入りの曲を目覚ましに設定することもできる。リンプ氏は「より安価な新型センサーの開発など、技術革新の積み重ねが家庭内の様々な技術を連携させることを可能にする」と強調した。

動画配信端末「Fire TV(ファイアTV)」の機能を組み込んだスマートテレビの分野では自社ブランドの新製品を発表するとともに、中国の海信集団(ハイセンス)や小米(シャオミ)、ヤマダホールディングスとの提携も発表した。アマゾンは有力企業にスマートテレビ用の基本ソフト(OS)を供給することで、プラットフォーマーとしての存在感を高めている。

M&Aでハードウエア事業拡大

独調査会社スタティスタが米国に住むスマートスピーカーの所有者約2100人を対象に実施したアンケート(複数回答可)によると、アマゾン製品の利用者が69%で最多だった。2位の米グーグル(42%)や3位の米アップル(19%)などのライバルに大きな差を付けている。

ネット通販を祖業とするアマゾンがハードウエア事業を拡大するために活用してきたのがM&A(合併・買収)だ。18年には屋外セキュリティーカメラなどを手がける米リングを買収。同社の製品を使い、ネット通販サービスの配達員が家主の不在時に荷物を安全に置いていける仕組みなども整えている。

22年8月にはロボット掃除機「ルンバ」の米アイロボットを約17億ドル(約2400億円)で買収すると発表した。アマゾンはロボット掃除機とアレクサを連携させ、スマートホーム分野における新たなサービスを生み出す狙いとみられている。

こうした動きに待ったをかけたのが、米国の消費者保護団体だ。スマートホーム市場ですでに支配的な地位にあるアマゾンがアイロボットを買収することは「公正な競争と消費者のプライバシーを危険にさらす」と主張。買収を阻止するよう求める書簡を米独禁当局に送った。

アマゾン批判の急先鋒(せんぽう)として知られるリナ・カーン委員長が率い、ネット通販市場におけるアマゾンの反競争的な行為に目を光らせる米連邦取引委員会(FTC)がこうした懸念を見過ごすはずもない。米メディアはFTCがすでにアイロボットの買収審査に乗り出していると報じている。

スマートホームで共通規格

寡占批判の高まりをかわそうと、アマゾンも対策に動いている。21年にはアップルやグーグルなどとともにスマートホーム機器の共通規格「Matter(マター)」を策定した。アマゾンのアレクサやアップルの「Siri(シリ)」など異なる音声AIプラットフォームの間でデバイスの相互接続性を認証し、ユーザーの利便性を高める取り組みだ。

アマゾンは28日の発表会では22年末までに約30種類のスマートスピーカーなどをマターに対応させると表明。ライバルと足並みをそろえる姿勢を示した。拡大が続くスマートホーム市場における成長力を維持しようと、競争と協調のバランスの手探りが始まっている。

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