フルモト氏に叙勲伝達式 日系人への理解促進に貢献

【ニューヨーク=弓真名】日系米国人で旭日単光章を今春に受賞したタケシ・フルモト氏(77)が28日、ニューヨークの総領事公邸での叙勲伝達式に出席した。人権活動を通じて日系人への理解促進や日米間の友好関係の構築に貢献したことが評価された。式典でフルモト氏は日系人の受けた差別の歴史について「将来の平和のために次世代に伝えたい」と語った。
フルモト氏は、第2次世界大戦時に西部カリフォルニア州にあった日系人の強制収容所で生まれ、原爆投下直後の広島市で少年時代を過ごした。ベトナム戦争時には米兵として従軍した。兵役後は「心的外傷後ストレス障害(PTSD)で苦しんだ」と当時を振り返った。
退役後は東部ニュージャージー州で不動産会社を立ち上げた。フルモト氏は地元民から「Tak」(タック)という愛称で親しまれている。「私はよい仲間に恵まれた」と声を詰まらせ、周囲への感謝を示した。
フルモト氏は記者団に対し「私は戦争に行っており、そのむごさを理解している」と話した。日系人として、強制収容所やベトナム戦争での体験を講演や動画投稿サイト「ユーチューブ」を通じて積極的に発信し、次世代に伝えている。