米ファイザー、ワクチン売上高3.6兆円に

【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手ファイザーは28日、独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの2021年12月期通期の売上高が、335億ドル(約3兆6850億円)になるとの見通しを発表した。5月時点の従来予想(260億ドル)から上方修正した。感染力の強いインド型(デルタ型)の拡大が深刻となるなか、追加接種のワクチンについてはデルタ型に高い予防効果を示すと明らかにした。
ファイザー製ワクチンは、昨年12月に米食品医薬品局(FDA)などが緊急使用を承認してから、100カ国超に10億回分以上が供給されている。米国では累計1億9000万回超と、最も接種されているワクチンだ。7月中旬時点で各国・地域などと供給契約を結ぶ21億回分が、21年末までに供給されるとして見通しを引き上げた。生産能力拡大への取り組みも順調で、21年の生産量は30億回分を見込む。
同日発表した21年4~6月期決算は、純利益が前年同期比59%増の55億6300万ドル、売上高は92%増の189億ドルだった。新型コロナワクチンの売上高が78億ドルとなり押し上げた。がん治療薬など主力の処方薬が好調だったほか、行動規制が緩和されるなか病院需要の回復も貢献した。
21年12月期通期の業績予想は、売上高が前期比86~91%増の780億~800億ドルを見込み、従来予想(705億~725億ドル)から上方修正した。ワクチン売上高予想の引き上げを反映したほか、経済回復により病院需要が引き続き好調に推移するとみている。ワクチンの売上高を除いたベースでは、7~12%増の450億~470億ドルを予想する。
臨床試験(治験)を進める3回目の追加接種ワクチンが、デルタ型への予防効果を高めるとのデータも公表した。接種完了から6~12カ月以内に追加接種ワクチンが必要になるという。ミカエル・ドルステン最高科学責任者(CSO)は決算説明会で「規制当局との協議を進めており、早ければ8月にも承認申請をする」と述べた。追加接種ワクチンをめぐっては、米疾病対策センター(CDC)とFDAが「現時点で必要としない」と共同声明を出している。

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