1月の米住宅価格指数、前年比5.3%上昇 伸び鈍化続く

【ニューヨーク=佐藤璃子】米連邦住宅金融庁(FHFA)が28日発表した1月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は、前年同月比で5.3%上昇した。2022年3月から連続でプラス幅が縮んでおり、伸び率は20年5月以来の低水準だった。前月からは0.2%上がった。需要低迷を受けて価格上昇圧力は弱まっている。
FHFAのエコノミスト、ナタリヤ・ポルコフニシェンコ博士は「1月はわずかな変化のみとなった。ここ数カ月は同様の傾向が続いている」と分析した。

同日発表の米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによるS&Pコアロジック・ケース・シラー指数(季節調整済み)では、全米の住宅価格は前月比0.2%下落した。米PNCフィナンシャル・サービシズのエコノミストは「米連邦準備理事会(FRB)による積極的な利上げを受けて住宅市場は減速が続いている」と指摘した。
米銀の経営破綻に伴う金融システム不安の波及も不安視されている。銀行の経営悪化で、住宅ローンや建設業者向けの融資を抑制するとの懸念があるためだ。「金融システムの混乱がさらに広がれば、融資基準が厳しくなり、借り入れコストがさらに上昇する可能性がある」(PNCフィナンシャル・サービシズ)との声は強まっている。同社は23年に住宅価格が前年比10%下落すると予想している。