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米軍の親イラン勢力空爆、核合意再建の火種に

【ワシントン=中村亮】米軍は27日、中東で親イラン武装勢力の施設を4カ月ぶりに空爆した。バイデン政権は武装勢力がイラク駐留米軍を標的に行った攻撃に対する報復措置と説明した。イランは反発するとみられ、空爆がイラン核合意の再建に向けた火種になる公算が大きい。

米国防総省のカービー報道官の声明によると、米軍はイスラム教シーア派武装勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」などの親イラン勢力が作戦拠点や兵器貯蔵に使っていたシリアとイラクの3カ所を空爆した。バイデン米大統領が空爆を指示した。米軍による親イラン勢力に対する空爆が明らかになるのは2月下旬以来だ。

カービー氏は「バイデン大統領は米兵を守ると明確にしてきた」と強調し、空爆は防御的措置だと説明した。米国やイスラエルのメディアによると、在イラク米軍の駐留拠点は最近数カ月にわたって親イラン勢力のものとみられる無人機攻撃にさらされていた。6月上旬にはイラク中西部のアサド空軍基地の近くで2機の無人機を迎撃したという。

バイデン政権はイランがシリアやイラク、レバノン、イエメンの武装勢力を支援しているとみる。イランが直接的な関与を避けながら、武装勢力を通じて米兵や米国関連施設を攻撃してバイデン政権の許容度を見極めようとしていた可能性がある。

トランプ前政権は攻撃を受けると即座に反撃して強硬姿勢を見せることが多かったが、中東の緊張に拍車をかける面も大きかった。

米政権は空爆を通じて対イラン強硬姿勢を示し、同盟国のイスラエルに自制を促す狙いがあった可能性もある。

イランメディアによると同国のガリバフ国会議長は27日、国際原子力機関(IAEA)との基本的な査察の受け入れ合意について「失効した」と説明した。イランを敵視するイスラエルが対抗措置を講じる可能性が生じていた。ブリンケン米国務長官は27日、ローマでイスラエルのラピド外相と会談し、イラン核合意をめぐり意見を交わした。

米軍の空爆にイランが反発して反米に一段と傾けば核合意の再建に不透明感が強まる。6月のイラン大統領選で当選した対米強硬派のライシ師は再建交渉をめぐり、米国に経済制裁の全面解除を訴えている。

米国は全面解除には応じない立場だ。米国務省高官は24日、記者団に対して「外交プロセスは永遠に開かれてはいない」と指摘し、イランに早期の譲歩を求めた。

国務省高官はイランが査察合意を延長しない場合に「核合意をめぐる交渉が極めて複雑になる」との認識も示していた。核開発制限に逆行するイランの行動は核合意再建への同国の真剣度に疑念を生じさせるためだ。

対イラン強硬派が多い米議会でバイデン政権に交渉の打ち切りや対抗措置を求める声が高まる可能性もある。

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