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米国務長官、人権重視鮮明に ウイグル弾圧を非難

【ワシントン=中村亮】ブリンケン米国務長官が人権を重視する方針を鮮明にしている。27日の初めての記者会見でイエメンの人道危機に強い懸念を示し、中国によるウイグル族の弾圧を非難した。トランプ前政権からの方針転換を印象づけるが、米国の同盟国にも強権を振るう指導者も目立ち、課題は山積している。

ブリンケン米国務長官は、シリア政策をめぐりオバマ元大統領に失望したことがあったという=AP

「ウイグル族に対してジェノサイド(民族大量虐殺)が行われたという認識は変わっていない」。ブリンケン氏は中国による新疆ウイグル自治区での弾圧をこう指弾した。

「国際法上のジェノサイドにあたる」とのトランプ政権の認定を踏襲する考えを示したものだ。リンダ・トーマスグリーンフィールド次期国連大使は27日の指名公聴会で認定の見直しもありうると示唆したが、ブリンケン氏は堅持を明言した。

香港については、19日の指名公聴会で「民主主義が踏みにじられた」と中国を批判した。香港がアジアの金融センターの地位を維持するかどうか「厳しく精査する必要がある」と述べた。中国が香港の自治を侵害し、金融機関が香港に拠点を置く利点が薄れたとの見方を示した。

ブリンケン氏は「イエメン国民に人道支援が行き渡るよう全ての措置を行うことが極めて重要だ」とも述べた。内戦が続くイエメンの親イラン武装組織フーシ派のテロ組織指定を解除する可能性に触れた。

フーシ派はイエメンの人口の8割が暮らす地域を支配するとされる。トランプ政権が19日にテロ組織に指定し、フーシ派への物資支援が滞った。「世界最悪の人道危機」(国連)がさらに深刻になったとの批判がある。

人権重視を強調したのはトランプ政権からの転換をアピールする狙いだ。トランプ前大統領は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に対してウイグル族を収容する「職業技能教育訓練センター」の建設を容認したり、中国による香港の民主化運動の弾圧を軽視したりしていたとされる。

ブリンケン氏の義理の父のピサール氏はユダヤ系で、ナチスドイツのアウシュビッツなどの強制収容所で迫害を受けた。ピサール氏は米メディアのインタビューで、ブリンケン氏が子どものころに自らの体験を伝えていたと説明し「彼に大きな印象として残り、別の世界観を与えた」と振り返っている。

ブリンケン氏に近い関係者は「ブリンケン氏がオバマ元大統領に不満を漏らし、失望したことがある」と語る。アサド政権が2013年に化学兵器を使ったとの見方が強まったのに、オバマ元大統領が議会承認を得られないとしてシリア攻撃を見送ったときだ。ブリンケン氏は当時、ホワイトハウス高官として中東政策に関与していた。

トランプ政権は17年、アサド政権が化学兵器を使ったと判断し、シリアの空軍基地を攻撃した。直後にブリンケン氏は米紙に寄稿した。「トランプ氏はシリア内戦の終結に関心がない」と批判しつつも、シリア攻撃については「トランプ大統領は正しい」と評価した。

ブリンケン氏に課題は山積している。中国は香港の民主化運動を「内政問題」としており、海外による一切の批判を受けつけない。米国が人権問題に強いこだわりを見せるほど外交全体が停滞するリスクがある。

中国外務省の趙立堅副報道局長は28日の記者会見で、ブリンケン氏が言及したウイグル族の「ジェノサイド」について「民族の虐殺はない」と3度くり返した。そのうえで「中国は外部勢力が新疆問題に名を借りて中国の内政に干渉するのに断固として反対する。中国は主権の安全や発展利益を必ず守る」と主張した。

中国だけではない。ベラルーシでは選挙の不正疑惑があるルカシェンコ大統領が、ロシアの後ろ盾で体制を維持する。北大西洋条約機構(NATO)に加盟するトルコやポーランド、ハンガリーでも強権的な指導者が台頭する。

ブリンケン氏は「外国での立場を高めるために米国内で取り組むべきことがたくさんある」と語ってきた。トランプ氏が民主主義の根本である選挙結果を認めなかったことで、米国が他国の人権侵害を批判する正当性は薄れた。バイデン政権が米社会の分断を修復し、民主主義の価値観を体現することが欠かせない。

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