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米ロ、軍縮協議を再開 関係安定へ試金石に

バイデン米大統領(右)は6月中旬、ロシアのプーチン大統領と会談し「核戦争に勝者はいない」との認識で一致した(スイス・ジュネーブ)=AP

【ワシントン=中村亮】米国とロシア両政府は28日、スイスのジュネーブで軍縮を主要議題とする戦略的安定に向けた対話を再開した。2026年に期限切れを迎える核軍縮条約の後継の枠組みづくりを目指す。軍縮の進展は米ロ関係の安定に向けた試金石となる。

タス通信によると、ロシア交渉団を率いるリャプコフ外務次官は27日、戦略対話について「米国と一致しない点を詳細に分析し、共同作業の方向性を見いだすために行う」と語った。米国からはシャーマン国務副長官が参加する。バイデン政権下で米ロが戦略対話を開くのは初めて。

バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は6月中旬、会談後に共同声明を発表し「核戦争に勝者はおらず、絶対に始めてはならないという原則を確認した」と強調した。サイバー攻撃や選挙介入、人権問題で対立するなかで、軍縮は数少ない米ロの協力分野との認識で一致した。

米ロは2月、新戦略兵器削減条約(新START)を26年まで延長した。新STARTは戦略核弾頭に加え、核弾頭を攻撃対象に向けて運ぶ長射程の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や戦略爆撃機、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の配備数を制限している。戦略対話では制限対象の拡大が焦点になる。

米ブルッキングス研究所のスティーブン・パイファー氏は「最大の問題は米ロで優先したい項目が異なることだ」と指摘し、協議は長引くとみる。

米国は射程の短い戦術核兵器の制限を訴える。ロシアが戦術核を増強し、射程に入る東欧諸国を威嚇すると懸念する。ロシアは米国に強みがあるとされるミサイル防衛システムの制限を主張する。対話は宇宙やサイバー領域にも及び、交渉が一段と複雑になる公算が大きい。

バイデン米政権は長期的に中国の核戦力増強にも歯止めをかけたい考えだ。米メディアによると、中国は新疆ウイグル自治区で核ミサイル用の地下発射施設とみられる110の建設物を建設している。中国は別の地域でもICBM用の地下発射施設をつくっていると最近報じられたばかりだ。

米国のトランプ前政権は中国に対し、米ロの核軍縮交渉に加わるよう強く要求したが実現しなかった。米戦略国際問題研究所(CSIS)のレベッカ・ハースマン上級顧問は「バイデン政権は米中ロではなく、米中の2国間の対話を目指すべきだ」と指摘した。「まずは米中が懸念事項を幅広く共有し、核の脅威を減らす素地をつくる必要がある」とみる。

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、米ロは21年初め時点で世界の核兵器の9割以上を保有した。中国の核保有数は米ロを大きく下回っており、ハースマン氏は「中国に数量制限をすぐに課すのは難しい」とみている。

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