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中国、2035年に核弾頭1500発 米国防総省が報告書

【ワシントン=中村亮】米国防総省は29日、中国の軍事力に関する年次報告書を公表した。中国の核弾頭保有数が2035年に1500発に増えるとの見通しを示した。米国の保有数に近づく。米軍が有事で台湾を守るケースを念頭に「中国軍が第三者の介入を撃退するための戦力を増強している」と断じた。

国防総省は2年前の報告書で中国の核弾頭保有数を少なくとも200発と見積もったが、今回はすでに400発を超えたと分析した。27年に700発、35年に1500発に増えると推計した。国防総省が35年の見積もりを示したのは初めて。

米国とロシアの新戦略兵器削減条約(新START)は核弾頭の配備数を1550発に限定する。条約は26年に失効予定で、条約の対象外の核弾頭もあるため単純比較は難しいが、30年代にかけて実戦レベルで米中の核戦力が接近する公算が大きい。

バイデン米政権は中国に核軍縮の協議を働きかけているが、中国は米国やロシアに核戦力が劣ることを理由に拒んでいる。国防総省高官は記者団に「中国がこれまでの立場を主張すれば疑問が生じる」と語り、戦力差の主張はいずれ通用しなくなるとの見方を示した。

中国は米本土を射程に入れる核戦力を拡充している。報告書は中国が21年に大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の発射施設の建設を続け、その規模は少なくとも300基にのぼると指摘した。米本土に届く潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発や配備も強化しているとみている。

米国と中国の核戦力が均衡に向かえば、米国が日本や韓国に提供する「核の傘」の実効性が揺らぐ恐れが高まる。米国が日韓防衛のために核兵器を使うと、米本土が中国から核兵器で反撃を受けるリスクが高まるからだ。米国が核使用をためらっていると中国がみなせば核抑止力が下がる。

報告書は台湾有事を念頭に「中国軍がインド太平洋地域で第三者の介入を抑止し、命令が出れば撃退するための選択肢を確保する目的で戦力を増強している」と懸念を示した。台湾に対して海上や上空封鎖に加え、上陸作戦を実施する選択肢が考えられるとした。

国防総省高官は27年にかけて「中国が台湾統一に向けてさらに信頼できる軍事的ツールを持つための戦力を模索している」と話した。過去に台湾の総統選を控えて「中国が言葉や軍事力の誇示で脅迫的な行動をしてきた」と指摘。24年の総統選に向けて中国が台湾に圧力を強めるリスクに触れた。

中国は中国大陸と台湾は一つの国に属するとする「一つの中国」原則を掲げている。報告書は中国が同原則と米国の「一つの中国」政策を混同させていると批判した。米国は「一つの中国」原則を完全に受け入れていない。

中国は台湾と安全保障や経済面で協力を深める米国の方針は長年の政策に違反していると主張し、台湾に圧力をかける自国の戦略を正当化する狙いがあるとみられる。国際社会から中国の台湾政策に支持を得る思惑が透ける。

米国は、中国が有事において西太平洋に米軍を近づかせない戦略をとるとみている。報告書は日本の沖縄から台湾を通ってフィリピンにつながる第一列島線でこの戦略を実行する中国の能力は「最も頑強だ」と分析した。太平洋諸国に軍を展開する能力も向上しているとした。中国は今春にソロモン諸島と安全保障協定を結び、米国は危機感を強めた。

中国軍が遠方での活動を増やすために海外で陸海空の補給拠点の拡充を探っている点にも触れた。カンボジアやアラブ首長国連邦(UAE)、赤道ギニア、アンゴラなどを具体例にあげ、中国軍がグローバル展開を志向し、米軍の活動を妨げる可能性があると警鐘を鳴らした。

中国軍が軍事力強化に向けて、優秀な海外人材の獲得を狙っているとも指摘した。中国は米欧の退役軍人を雇って部隊の技能を高めているとの見方があり、米国は警戒している。

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