Amazon営業益5割減 年末商戦の予想弱く、株20%急落

【シリコンバレー=佐藤浩実】米アマゾン・ドット・コムが27日発表した2022年7〜9月期決算は売上高が前年同期比15%増の1271億100万ドル(約18兆5900億円)だった。会員向けセールの実施で4四半期ぶりに2桁の伸び率となったが、本業のもうけを示す営業利益は48%減の25億2500万ドルにとどまった。年末商戦と重なる10~12月期の業績見通しも市場予想に届かず、時間外取引で株価は27日終値に比べて一時、約20%下げた。
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売上高は7〜9月期として最高を更新した。ただ大幅な増収は、21年は6月開催だった有料会員向けセール「プライムデー」を7月にずらした効果が大きい。ブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は決算説明会で「四半期が進むにつれて多くの事業で売り上げの伸びが緩やかになり、為替の逆風も強まった」と指摘した。

直営のインターネット通販事業の売上高は7%増の534億8900万ドルだった。同事業の増収は4四半期ぶり。外部の出品者から受け取る手数料収入は18%増の286億6600万ドルだった。米国や欧州各国で順次「プライム」の年会費を引き上げたため、サブスクリプション(継続課金)型サービスの売上高は9%増の89億300万ドルとなった。
クラウドコンピューティング部門「AWS」の売り上げは27%増の205億3800万ドルだった。初めて200億ドルを超えたが、伸び率は予想を下回った。オルサブスキー氏は「マクロ経済の不透明感が続くなかで、支出を抑えたいと考える顧客が増えている」と説明。金融や住宅ローン業界などの需要が弱まっており、低価格帯のサービスへの切り替えなどを提案しているという。
人件費やエネルギー価格の上昇も重荷になっている。営業利益は48%減の25億2500万ドルで、5四半期連続のマイナスとなった。電気料金や天然ガス価格が「ここ数年で2倍以上になっている」(オルサブスキー氏)と言い、7〜9月期は欧州での燃料費の増加が目立った。最終損益は9%減の28億7200万ドルで、資本・業務提携する米新興電気自動車メーカーの株式評価益を計上し、3四半期ぶりに黒字化した。
オルサブスキー氏は説明会で、コスト削減に取り組んでいる点を強調した。生産性の向上や固定費の調整、インフレ対策を重視しているという。物流施設や配送網の効率改善を進めているほか、小売部門での採用を凍結したり、一部の製品やサービスはプロジェクトを中断したりした。
アマゾンは10~12月期の売上高が、前年同期と比べて2~8%増の1400億~1480億ドルの範囲になるとの予想を示した。10月に2度目の会員向けセールを実施したものの、増収率は再び1桁に落ちこむとみる。営業利益についても最大40億ドル(前年同期は約35億ドル)にとどまるとの見方を示した。
オルサブスキー氏は10~12月期について「消費者の財布を圧迫する様々な要因がある」と話した。「年末商戦が昨年と比べてどの程度好調に推移するかはまだわからないが、消費者がお買い得な商品を探していることは確かだ」と指摘した。
アマゾンにとって10~12月期は最大の商戦期にあたる。売上高の見通しは市場予想の1550億ドルを大幅に下回り、営業利益も予想(50億ドル)に届かなかった。投資家らに悲観ムードが広がったことで27日の米国市場の時間外取引でアマゾン株は急落した。
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