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デルタ型拡大、タカくくる市場の死角(NY特急便)

米州総局 後藤達也

コロナ感染拡大への市場の警戒は薄い=ロイター

米国で新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大が続いている。マスク着用の要請など全米の自治体でも対応が広がっている。ただ株式市場では都市封鎖につながるとの警戒は低い。潤沢なマネーが株価を押し上げる構図は続いており、リスクには目をつむるムードが広がっている。

アワー・ワールド・イン・データの集計では米国のコロナウイルスの新規感染者数(7日移動平均)は26日、5万7301人となった。1月のピーク(25万人強)と比べれば少ないが、この1カ月あまりで5倍強に急増した。

それでも株式市場の警戒感は高まらない。先週19日にはデルタ型への警戒を一因に株価が大きく調整したが、その後は反発。米主要株価指数は26日、軒並み史上最高値を更新した。27日は利益確定売りに押されたものの、主要企業の決算発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にした持ち高調整の面が大きい。

市場では「2020年や21年初めと比べ、感染予防措置は穏やかなものにとどまる可能性が高く、仮に都市封鎖があるとしても局所的なものとなるとみている」(ウェルズ・ファーゴ・アドバイザーズのスコット・レン氏)といった声が多い。レン氏は株価が一時的に調整したときは買いの好機だとみる。

RBC・ウェルス・マネジメントのケリー・ボダノバ氏は「多くの国の当局者は再び厳しい都市封鎖を実施することに消極的だとみられる」と指摘する。都市封鎖した場合、巨額の財政支援を要するなどコストは甚大だ。ワクチンが感染や重篤化を防ぎ、医療崩壊が起こらない限りは経済に深刻な影響は及ばないという。

これまでのところワクチン接種した人の重症化比率は低いとされている。感染増が頭打ちになる兆しが出れば、多くの投資家が見立てるようにデルタ型が株価の大きな調整をもたらす可能性は低そうだ。

ただ、ここ2~3週間の感染増は急なため、米政府や州の対応も変化が出始めた。米疾病対策センター(CDC)は27日、ワクチンを完全に接種した人でも屋内ではマスクを着用することを推奨した。カリフォルニア州は州職員に対してワクチンを接種するか、定期的に感染検査を受けることを義務付ける。

感染拡大に歯止めがかからなければ、外食などへの営業規制が再び検討される可能性は残る。国民も感染を避け、外出などを自粛する可能性も出てくる。経済再開の方向性は大枠で揺らがないとの見方が大勢なだけに、シナリオが崩れると反動も大きくなりかねない。

今週は米主要企業の決算発表が本格化している。27日の取引終了後にアップルやアルファベット、マイクロソフトなどが発表した利益はアナリスト予想を上回った。ただ、マイクロソフトやアップルは決算発表後の時間外取引で株価が下落する場面もあった。

コロナは収束に向かい、景気も企業収益も好調が継続、さらに長期金利は大きくは上昇しない――。市場は株価に追い風となる好材料を続々と織り込んでいる。この数カ月、株価はいいとこどりで右肩上がりの展開が続いているが、前提が崩れれば反動は大きくなる。(ニューヨーク=後藤達也)

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