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FRB、量的緩和縮小へ議論継続 「今後複数の会合で」

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【ワシントン=大越匡洋】米連邦準備理事会(FRB)は28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策と量的緩和政策の維持を決めた。パウエル議長は会合後に記者会見し、国債などの資産を買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)の開始に向けて「今後複数の会合」で経済情勢の進捗を確認すると表明した。

年内の次回以降のFOMCは9月下旬、11月初め、12月中旬を予定している。パウエル氏は雇用と物価の両面で進展があったとし、テーパリング開始まで市場との対話を十分に重ねる意向を示した。開始の時期は今後の経済データ次第で変わると強調し、特定のスケジュールは「決めていない」と語った。

購入資産の縮小にあたり、住宅ローン担保証券(MBS)を米国債よりも早く減らす考え方については「ほとんど支持がない」と述べ、米国債とMBSを買い入れ時と同じ比率で減らしていく意向をにじませた。

変異型の感染拡大など新型コロナウイルスが経済に与えるリスクに警戒感を示した。雇用情勢は需要が強いとしつつ、最大雇用の目標には「まだ遠い」とした。

インフレの加速をめぐっては、一時的でいずれ落ち着くとの従来認識を繰り返した。ただその具体的な時期は見通せないとし、インフレ高進の恐れがある場合は対応する用意があると話した。現時点での利上げの検討は「時宜を得ていない」と退けた。

27~28日のFOMCは短期金利の指標であるフェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を0~0.25%のまま据え置いた。2020年3月に再開した量的緩和政策も継続し、当面は米国債を月800億ドル、MBSを同400億ドルのペースで買い入れる。パウエル議長ら投票メンバー11人の全会一致で決めた。

声明では国債などの資産購入の規模について、最大雇用と物価安定の目標にむけて「さらなる著しい進展がみられるまで続ける」との従来方針を明記。「労働市場が最大雇用に達し、インフレ率がしばらくの間、緩やかに2%を上回るようめざす」との基本姿勢を強調した。

足元で加速するインフレを「一時的」とする見解は踏襲した。経済回復は新型コロナの動向に左右されるとし「先行きへのリスクが残っている」と改めて指摘した。

財政出動とワクチン普及でこれまで米経済は急回復を続けてきた。6月の消費者物価指数(CPI)の上昇率が前年同月比5.4%に達するなど、需要の急増に供給が追いつかないことで想定を超えるインフレの加速が起きている。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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