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Apple規制で米IT明暗 Google最高益、Facebookは逆風

【シリコンバレー=奥平和行】個人情報の収集・活用の違いで米インターネット大手の業績に明暗が分かれている。米アップルが利用規制を強めるなか、米アルファベット(グーグル親会社)が2021年7~9月期に最高益を更新。一方、米フェイスブックなどは苦戦が目立つ。広告事業への独占・寡占批判も加わり経営環境は厳しくなっており、ネット各社は対応が急務になっている。

「これまでの投資のおかげで顧客企業への影響を軽減できた」。アルファベットのフィリップ・シンドラー最高事業責任者は26日の決算説明会で、アップルが個人情報の利用規制を強めた影響について説明した。21年7~9月期の純利益は189億3600万ドル(約2兆1600億円)と前年同期比68%増えた。

アップルは4月、iPhoneの基本ソフト(OS)「iOS14.5」の提供を始め、端末ごとに割り振った識別情報の利用を事前承認制に変更した。広告会社などは複数の企業が運営するアプリを横断して利用者の行動を追跡しにくくなり、一人ひとりの趣味や嗜好に合わせた広告の配信が困難になった。

この影響で写真共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップは7~9月期の収益が市場予想に届かなかった。アップルの規制に伴い、広告配信の精度が下がったことが理由だ。決算を発表した翌22日の株価は一時、前日比27%下落し、広告を主体とする他の企業の株価も軒並み下げた。

25日に決算を発表したフェイスブックも「アップルの新OSが最大の逆風となった」(シェリル・サンドバーグ最高執行責任者=COO)。21年7~9月期の売上高は市場予想を下回り、21年10~12月期も影響が続くとみる。26日の株価は前日比4%下落した。

一方、グーグルはスマートフォンのOSや動画共有サービスなど幅広い事業を手がけ、広告事業ではネット検索のキーワードに関連した内容を表示するサービスの比重が大きい。独自に集められる情報が多く、アップルの規制強化の影響を受けにくかった。

英広告大手WPP傘下のグループMによると、21年の世界のネット広告市場(米政治広告を除く)は前年比26%増の4771億ドルとなる見通しだ。6月に予想を前年比15%増から上方修正した。新型コロナウイルスの流行に伴ってデジタル技術の活用が加速し、市場の拡大に拍車がかかっている。

グーグルはネット広告市場拡大の追い風を受けたほか、アナリストの間ではアップル規制で広告配信の精度が下がった他社からの乗り換えが進んだとの見方がある。

ただ、アップルの規制強化に対応しても課題は残る。ひとつは新勢力の台頭だ。米アマゾン・ドット・コムは消費者が買い物のため訪れる自社サイトに掲載する商品広告を増やしている。広告を主体とする「その他」事業の売上高は21年4~6月期まで8四半期連続で40%以上増えた。

米イーマーケッターによると、アマゾンの米ネット広告市場でのシェアは20年に10%を超え、グーグル、フェイスブックに次ぐ3位につけた。グーグルは利用者がスマホのカメラで撮影した商品を購入できるようにするサービスを始めるなど、電子商取引(EC)関連を強化している。フェイスブックもECに注力する。

強まる独占・寡占批判への対応も課題だ。グーグルに対しては20年12月にテキサスなど米10州の司法長官が同社の広告事業が反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとして提訴し、今年6月には欧州連合(EU)の欧州委員会も調査を始めた。いずれも同社が広告関連の幅広いサービスで高いシェアを握ることを問題視しており、包囲網が狭まっている。

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