テスラ、初の通期最終黒字 21年はEV世界販売5割増計画

【シリコンバレー=白石武志】米テスラが27日発表した2020年10~12月期決算は売上高が前年同期比46%増の107億4400万㌦(約1兆1100億円)、最終利益が2.6倍の2億7000万㌦だった。新型コロナウイルス禍からいち早く経済回復した中国などで電気自動車(EV)の販売を伸ばし、20年12月通期ベースでも初の最終黒字を確保した。
20年12月通期の売上高は28%増の315億3600万㌦、最終損益は7億2100万㌦の黒字(19年12月通期は8億6200万㌦の赤字)だった。通期ベースの最終損益が黒字となるのは10年の上場以降で初めて。20年の年間EV販売台数の確報値は19年比36%増の49万9647台となり、期初の目標である50万台をほぼ達成した。

19年末に稼働した中国・上海市の新工場におけるEV生産が軌道にのり、新型コロナの感染拡大局面でも6四半期連続で黒字を維持した。ただ、20年10~12月期の1株当たり利益(EPS)の水準が事前の市場予想を下回ったことから、27日の米国市場の時間外取引でテスラ株は終値を下回って取引されている。
テスラは年間の世界販売台数について21年以降も年率50%を超える成長を続けるとの見通しを示した。米カリフォルニア州と上海市の2つのEV工場を合わせた生産能力は足元で年105万台となり、量産車メーカーの目安とされる100万台の大台を超えた。21年には独ベルリン郊外と米テキサス州で建設中のEV工場が稼働を始める。
EV市場での躍進への期待から、株価は過去1年で8倍近くに急騰した。足元の時価総額は8190億ドルを超え、カネ余りによる投機的な売買の増加を指摘する声もある。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は27日に開いたアナリスト向けの電話会見で自動運転をはじめとするソフトウエア技術がテスラ車の価値を高めていると指摘し、企業価値の評価について「正当化する方法はあると思う」と述べた。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)