米国務省「台湾と交流拡大」 ホンジュラス断交に危機感

【ワシントン=中村亮】米国務省の報道担当者は26日の声明で、中米ホンジュラスと台湾の断交に関連し「米国は台湾と交流を深めて拡大する」と断言した。各国に「民主主義や優れた統治、透明性、法の支配の味方であるよう求める」と訴え、台湾の外交的孤立に危機感を示した。
ホンジュラスは26日に中国と国交を樹立し、80年間以上続いた台湾との外交的関係を打ち切った。
国務省の報道担当者は「ホンジュラスの行動は主権国家の決定だが、中国が外交的承認と引き換えにたびたび最終的に履行されない約束をすることがあると注意するのは重要だ」と指摘した。「中南米や世界中で最近または現在進行形の多くの事例がある」と言及し、中国に不信感をあらわにした。
「台湾は信頼でき、志を同じくする民主主義のパートナーであり、世界中で(台湾との)パートナーシップが各国の市民に重大かつ持続可能な恩恵をもたらしている」と訴えた。台湾が外交関係を持つ残りの13カ国に現状維持を促す思惑が透ける。
台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は3月末から4月上旬にかけて中米2カ国を訪れる。訪問直前に中国はホンジュラスと国交樹立を実現し、国際社会での台湾の孤立を印象づけようとした可能性がある。
蔡氏は米国を経由して中米を訪問する。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は26日、CBSテレビのインタビューで「とくにこの(蔡)総統に関してはこうした経由は普通だ」と語った。中国が台湾への圧力を一段と強めるきっかけとして使わないよう念押しした。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、マッカーシー米下院議長は西部カリフォルニア州で蔡氏と会談する計画だ。

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