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FRB議長「量的緩和、予定通り3月終了」 会見要旨

(更新)

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を開いた。国債などを大量に購入する量的緩和について「2021年12月に発表したスケジュールで資産購入を引き続き減らすことでも合意し、3月上旬に終了させる」と述べた。主な発言や質疑応答は以下の通り。

きょうFOMCは政策金利をゼロ近傍に据え置き、まもなく政策金利を引き上げるのが適切だとの見通しを示した。2021年12月に発表したスケジュールで資産購入を引き続き減らすことでも合意し、高い物価上昇率と堅調な労働市場を背景に3月上旬に終了させる。我々の政策は好調な経済環境に適応してきており、今後も続けていく。

21年の経済活動はワクチン接種の拡大や経済再開、財政・金融政策による支援、家計や企業の健全な財務状況などを反映し、力強いペースで拡大した。実際、経済はなお続くパンデミックに直面しながらも強さと回復力を示している。

変異型「オミクロン型」の出現に伴う新型コロナウイルス感染者の最近の急増はこの四半期の経済成長に立ちはだかるだろう。

指標を見ても新型コロナで支出は減っている。旅行やレストランなど影響を受けやすい分野では多くの労働者が発症や隔離、看病のために出勤できず、より広範に影響を受ける可能性がある。

幸いにも医療の専門家によると、オミクロンはこれまでのウイルスほど重症化リスクはなく、予想される感染者数は急速に減るようだ。この波が早期に過ぎれば、経済への影響も同様に力強い成長に戻るだろう。

とはいえ、経済への影響は不確実性が残る。多くの感染者やその家族、最前線で働く医療従事者にとってウイルスが大きな困難をもたらし続けている事実を見失っていない。

労働市場はめざましく改善し、多くの指標を見ても非常に好調だ。ここ数カ月、雇用は堅調に増え、過去3カ月間の平均で月36万5千人、過去1年間で640万人分の雇用が増えた。失業率は過去半年で2ポイント低下し、21年12月には3.9%となった。労働市場の改善は賃金分布の下限に位置する労働者や、アフリカ系、ヒスパニック系米国人を含め、広範囲に及ぶ。労働需要は歴史的に見ても堅調だ。

労働供給の制約により、雇用主は求人を満たすのが難しく、賃金はここ数年で最も速いペースで上昇している。労働参加率は上昇しているが、高齢化と退職を反映して依然低調だ。

本来であれば仕事を探すはずの人たちが介護の必要性や新型コロナへの懸念などパンデミックに関する要因で(労働市場に参加せず)、労働力が足りないと報告されている。現在の感染症の流行はこうした影響を長引かせる可能性がある。

時間とともに労働参加率や雇用率のさらなる改善が期待できる理由がある。物価上昇率は長期的な目標である2%を大きく上回っている。パンデミックと経済の再開に伴う需給の不均衡が引き続き物価上昇率の上昇につながっている。

こうした障害や供給制約により短期的には生産が需要の増加に機敏に対応するのを制限している。こうした問題は予想以上に大きく、長く続いており、感染症の波により悪化している

インフレ進行の要因は主にパンデミックによる混乱と関連していたが、現在では価格上昇がより幅広い商品やサービスに拡大している。賃金も急上昇し、生産性を上回る実質賃金の上昇が続けば物価上昇に拍車がかかる可能性があることに留意している。

多くの予想と同様に我々も年内の物価上昇率は低下すると予想している。

我々は高い物価上昇率が、特に食料、住宅、移動などの必需品のコスト上昇に対応できない人々に大きな困難をもたらすと理解している。労働市場の継続的な上昇を支えるためにできる最善策は長期的な経済拡大を促進することであり、それには物価の安定が必要だ。

物価の安定に全力を尽くす。経済と強い労働市場を支えるために、高い物価上昇率の定着を防ぐためにその両方の手段を使う。経済が期待通りに改善しているか注意深く見守っていく。

最初の金融政策の行動は米国民のために最大の雇用と安定した物価を促進するという我々の権限によって方向付けられた。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを据え置き、資産購入を3月上旬に終了する計画も再確認した。

労働市場に見られる顕著な改善と長期目標である2%を大きく上回る物価上昇率を考慮すれば、経済はもはや金融政策による高水準の持続的な支援は必要ない。資産購入を段階的に縮小しており、まもなくFF金利の目標レンジを引き上げるのが適切だ。

もちろん、経済の見通しは依然として非常に不確実性がある。このような環境下で適切な金融政策を実施するには経済が予期せぬ形で進むことを認識する謙虚さとともに、想定されるあらゆる結果に対処できる迅速性が求められる。高い物価上昇率が予想以上に持続するリスクなどを注意し、目標を達成するために適切に対応する準備をしている。

FRBのバランスシートの規模を縮小するためのアプローチについて、より明確にする。きょうの委員会は将来の決定の基礎となる一連の原則を発表した。この高い水準の原則はFF金利が金融政策を調整するための主要な手段であり、バランスシートの縮小は金利引き上げが始まった後に実施すると明確にした。

削減は主に再投資に対する調整を通じ、予測可能な方法で時間をかけて取り組む。つまり有価証券がバランスシートから消えていくことになる。

長期的には余裕のある運用体制に必要な量の有価証券を保有していく予定だ。長期的には主に財務省証券の保有を想定している。

バランスシート縮小の決定は最大雇用と物価安定の目標に基づき実行する。その意味で経済・金融情勢に照らし、バランスシート管理のアプローチの詳細を調整する用意がある。委員会はバランスシートを縮小する具体的なタイミングやペース、その他の詳細は決定していない。今後議論し、適切な時期に追加情報を提供していく。

以下、質疑応答

――利上げはどのように進めるのか。

利上げのやり方を明確に予想することは不可能であり、まだ詳細は決定していない。今後発表されるデータ次第で見通しは変化するが、その都度コミュニケーションをはかり、情報公開を徹底する。

2015年に利上げを始めた時と比べて現在の景況は極めて異なり、当時よりも非常に強い。労働市場もはるかに活況で、インフレ率は2%の目標水準を大きく上回っている。こうした違いが金融政策のペースの違いを示唆しているといえる。

――最大雇用は利上げによって損なわれないか。

パンデミック初期に直面した景気悪化に対応して実施した金融緩和によって最大雇用と物価上昇を実現した。これについてはFOMCメンバーも一致した意見だ。これを踏まえれば、FF金利の引き上げをまもなく実施するのは適切だ。今後景気がさらに拡大するのに伴い労働参加率も上昇し、最大雇用の水準も引き上げられるかもしれない。求人数も過去最高水準で賃金も速いペースで上昇していることを踏まえれば、雇用情勢を損なうことなく利上げをする余地は大きい。

経済の供給サイドが改善してインフレを押し下げることが可能な上に、財政政策での景気刺激策も鈍化することで経済成長率は抑えられるので、インフレは低下傾向になる。もちろんインフレ圧力の上昇が予想以上に長引く可能性もあるが、その際には我々のツールを使って対処するつもりだ。

――FRBの保有資産の圧縮プロセスを見直す議論はあったのか。

前回の会合で資産圧縮の開始についての議論を始め、今回は議論をさらに進めた。具体的なペースややり方については次回の会合で話し合う。現時点では規模や期間などについて提示することはできない。次回の会合ではもっと具体的なことを話すことができるだろう。 

前回、資産圧縮を開始した時よりも、資産の規模は短期間にかなり大きく拡大し、景気も前回よりも強く、インフレ率も高いので、資産圧縮のペースは前回よりも速くなるだろう。それ以上のことを今語るのは適切ではない。

――利上げと資産圧縮をどのように組み合わせるのか。

会合ごとに資産の圧縮は予想できるやり方で実施し、それと連動してFF金利の引き上げを実施する。ただ、利上げがどれだけ金融市場と経済に影響を与えるかを把握するのはわかりやすいが、資産圧縮というのは金融市場にとっては比較的新しい政策なので、予想するのは難しい。

――この数週間、金融市場は乱高下している。金融政策への影響は。

我々は最大雇用と物価の安定という実際の景気に加え、様々な金融市場の状況を注視しているが、金融市場の状況についてコメントは差し控えたい。ただ、前回の会合以降、6~7週間に我々と市場参加者とのコミュニケーションが奏功し、金融市場は数回の利上げを織り込みつつある。

――利上げの道筋やステップは。

現時点で決定していない。3月の会合で決定する予定だ。コロナの景気への影響など、そのときの状況次第だが、FOMCメンバーは3月の会合でFF金利を引き上げることを想定している。

――バランスシート縮小について議論する時期は。

次(3月)の会合で一度議論し、その後にも少なくとももう一度議論することになるだろう。進展があれば共有するが、適切な時期がきたら縮小のプロセスを開始するつもりだ。現在バランスシートは必要以上に膨らんでいる。大幅に縮小する必要があり、それには時間がかかるだろう。縮小のプロセスは秩序を保ちつつ、予測可能なものにしたいと考えている

――利上げに踏み切るが、先々のリスクは。

私も含めたほとんどのFOMC参加者がインフレをリスクとみている。高インフレが長期化し、さらに加速するリスクもある。ただ、これが基本ケースと考えているわけではない。インフレが高止まりした場合を含め、私たちは様々な事象に対処できるようにしておかなければならない。

新型コロナは終わったわけではない。今後も進化を続け、景気減速につながる可能性がある。サプライチェーン(供給網)の問題が経済活動を鈍化させる可能性もある。中国の新型コロナに対する強硬策が、さらなる供給網の混乱を引き起こすことも考えられる。さらに、東欧で起こっている(ウクライナを巡る)問題もある。私たちは多くのリスクがあることを忘れてはいけない。

――インフレの見通しは。

12月のFOMC以降、インフレの状況はほぼ同じで、わずかに悪化しているといえるだろう。今回はFOMC参加者の中期の経済・政策見通し(SEP)を出していないが、わずかに悪化しているだろう。彼らの見通しにはレンジがあるが、この1年間でそのレンジも右肩上がりで推移している。物価上昇率の大きさやスピードの面などで状況がさらに悪化すれば、それに対処しなければならない。

――前回の利上げとは異なるアプローチをとるのか。

まだ何の決定も下していない。ただ言えるのは、今回が異なる状況であることを十分に理解しているということだ。15~18年にかけて利上げを行ったときの状況を振り返ると、物価上昇率は2%に非常に近かった。失業率も高くなく、成長率も2~3%台だった。今、物価上昇率は2%を大幅に上回っている。22年の予測を引き下げたとしても、潜在成長率を大幅に上回る成長率を示しており、労働市場は多くの指標からみても歴史的に逼迫している。質問内容について今答えられることはないが、3月のFOMC以降に取り上げる予定だ。

――供給網の乱れが解消する時期の見通しは。

供給網の問題が今年末までに完全に解消するとは予測していない。改善を示す兆しはたくさんあるが、全般的にみれば供給網の問題は今のところ前進がない。今年後半には前進すると予測しているが、半導体などはかなり時間がかかる 。

――引き締め政策に転換するのが遅すぎるという批判もある。

金融政策は起こり得るあらゆる状況に対処できる姿勢をとる必要がある。インフレが予測より高くなったり、高止まりが続いたりする可能性について、我々は対処するために政策変更する姿勢をとっている。

――利上げの規模や、0.25%以上の利上げの可能性は議論したか。

その決定をする状況にはなっておらず、決めていない。今の段階で利上げの道筋がどうなるかを正確に話すことはできない。

――政策変更を始めるにあたり、目指すものは何か?

我々が目指していることは、インフレ予測を2%でしっかり安定させることだ。それが究極の目標で、そのために長期的に平均2%のインフレにしようとしている。労働市場は極めて強く、当面強くあり続けるとみられている。強い労働市場を維持したままで、インフレを2%に戻すことが理想だ。高インフレは長期的に労働参加率を高め労働市場を強めることへの深刻な脅威だ。また高インフレは足元で起きている賃金上昇の恩恵を消し去ってしまう。そのため我々は、(最大雇用と物価安定の)目標の両方を達成しようとしている。

――金融政策と財政政策のパンデミックへの対応が過剰だったためにインフレが起きているとの見方もある。

パンデミックの初めには世界経済の大部分が閉鎖し、人々が何週間も自宅にこもり、ワクチンもなかったことを思い出してほしい。経済活動は急激に落ち込み、長期的なダメージをもたらす危険があった。議会は迅速に強力に対処し、我々も金融システムの崩壊を食い止めた。おかげでほかのどの国よりも力強く回復している。過剰だったかどうかは、歴史家に判断を委ねる。

――金融正常化のペースは。

今年は、パンデミックに対処するために取った極めて緩和的な金融政策から着実に離れる年となる。資産購入を終了する。利上げを始め、必要に応じて追加利上げをする。3月会合が次の評価機会だ。それは我々の理解に応じて日々進展し続けるだろう。そして数回の会合をかけてバランスシートの圧縮について話し合い、予測可能なやり方で実施する。機敏な対応が必要なため、これらがどうなるか、どうなるべきかを(事前に)正確に述べることは不可能だ。

(坂口幸裕、伴百江、長沼亜紀、野村優子)

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