Amazonとベライゾン、衛星網で提携 地方カバー目指す

【ニューヨーク=清水石珠実】米アマゾン・ドット・コムと米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズは26日、人工衛星を使ったインターネット通信サービスの整備に向けて提携したと発表した。衛星を使った通信サービスは、従来の方法で回線や電波が届きにくい農村部や山間部などを網羅できる方法として注目を集める。普及すれば、デジタル格差の解消に役立つと期待されている。
アマゾンは昨年、米連邦通信委員会(FCC)から認可を受け、人工衛星を使ったブロードバンド(高速大容量)通信サービス参入への準備を進めている。「プロジェクト・カイパー」と呼ばれる計画で、100億ドル(約1兆1400億円)を投じて、3000基を超す衛星を配備することを目指している。長期的には、個人宅向けだけでなく、過疎地にある学校や病院、企業などに安価で高速なネット接続が提供できるようになるとしている。
ベライゾンはアマゾンが構築する衛星通信網と自社の地上の通信網を連携させることで、いままで通信サービスを提供できていなかった人口の少ない地域などでのサービス拡大を目指す。まずは2社で協力して、技術的な課題の洗い出しや事業モデルの精査などをする予定だ。
アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は、「どんな会社も1社で(世界の)デジタル格差を解消することはできない」とし、米携帯最大手のベライゾンとの提携を歓迎した。
米国では民間企業によるロケット開発によって衛星の打ち上げコストが下がり、人工衛星を使う通信サービスへの期待が高まっている。起業家のイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発ベンチャーの米スペースXも、衛星経由のネット接続サービス「スターリンク」の提供に向け、準備を進めている。
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