米ダウ、2000人削減へ テック以外にもリストラの波 - 日本経済新聞
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米ダウ、2000人削減へ テック以外にもリストラの波

【ニューヨーク=西邨紘子】米化学大手のダウは26日、全従業員の約5%にあたる2000人を削減すると発表した。拠点や原料調達の見直しも進め、2023年に10億ドル(約1300億円)のコスト削減を目指す。米国ではテック業界が過去最多ペースの人員削減に乗り出しているが、世界的なインフレや景気減速を受けてほかの業種にも合理化の波が広がり始めた。

ダウの人員削減は世界各地を対象とする。具体的な部門などは明らかにしていない。一方で、事業拠点は欧州を中心に見直す。ロシアのウクライナ侵攻のあおりで欧州のエネルギー価格が上昇し、同地域での事業効率が悪化したことが背景にあると見られる。

ダウのジム・フィッタリング最高経営責任者(CEO)は同日「低コストで競争力が高い成長市場に軸足を置き、コスト構造の最適化を進めていく」と説明した。リストラ関連費用として、23年1〜3月期に5億5000万〜7億2500万ドルの計上を見込む。

ダウが同日発表した22年10〜12月期の決算は、純利益が6億1300万ドルで、前年同期(17億3600万ドル)の約3分の1に落ち込んだ。売上高は17%減の118億5900万ドルで、ドル高が4%程度の減収要因になった。

欧州・中東・アフリカ・インド(EMEAI)地域で製品販売量が18%減と低迷。米国・カナダも販売が振るわなかった。事業別ではパッケージ材・特殊プラスチックの部門売上高が16%減となり、産業中間財・インフラ、高機能材・コーティングはそれぞれ2割減と大きく落ち込んだ。

23年の見通しについては、米国のインフレ減速やエネルギー市場の改善など「初期の明るい兆候も見られる」(フィッタリングCEO)と指摘した。ただ当面は「慎重かつ積極的に、コスト管理や経営効率の改善を進める」(同)と強調した。

米企業の間では、経営環境の悪化を懸念する声が急速に増えている。工業製品大手の米スリーエム(3M)はこのほど、パソコンの需要急減などを受けて2500人の人員を削減する方針を明らかにした。米IBMも約3900人の人員を減らし、人工知能(AI)など高採算事業に経営資源を集中する。

米調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの発表によると、米ヘルスケア・製造業の人員削減数は22年に約3万626人で、前年より4%少なかった。ただ22年後半以降は米国の消費者や企業が支出を絞る傾向が顕著になっており、今後リストラの動きがさらに強まる可能性がある。

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