3月の米新築住宅販売8.6%減 ローン金利急上昇で

【ワシントン=長沼亜紀】米商務省が26日発表した3月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は76万3000戸で前月から8.6%減った。3カ月連続の減少で、住宅ローン金利の急上昇により販売にブレーキがかかり始めた。前年同月比では12.6%減少した。
販売件数は、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(77万戸程度)を下回った。販売価格(中央値)は43万6700ドル(約5600万円)で前年同月比21.4%値上がりした。資材・人件費の高騰と物件不足で強い価格上昇が続いた。

新型コロナウイルス感染拡大で、在宅勤務のしやすい郊外の戸建て住宅への需要が急増し、住宅市場は力強い拡大が続いていた。しかし、米連邦準備理事会(FRB)が3月にインフレ抑制のため政策金利の引き上げに踏み切ると長期金利が上昇。それに伴い住宅ローン金利も上昇し始めた。
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、1月上旬に3.22%(週平均)だった30年固定金利は4月15~21日の週に5.11%へ上昇し、約12年ぶりの高さとなった。ローン金利上昇で住宅購入をあきらめる人が増え、需要は冷え始めている。3月の中古住宅販売件数は1年9カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。
住宅市場の先行指標である住宅ローン申請件数も急減している。経済調査会社パンセオン・マクロエコノミクスのイアン・シェファードソン氏は、新築住宅販売はさらに減り続けると予測する。住宅市場の減速がFRBの金融政策に対する市場予想に影響することは短期的にはないと見るが「急激な落ち込みが続くと0.5%幅の利上げ継続に異論がでる可能性がある」とも指摘した。
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