カブール空港周辺で爆発、60人死亡か 自爆攻撃の可能性
【ワシントン=中村亮】米国防総省のカービー報道官は26日、アフガニスタンの首都カブールの国際空港の周辺で少なくとも2回の爆発があったとツイッターで明らかにした。米兵を含めて60人超が死亡したとの報道がある。CNNテレビによると、バイデン政権は自爆攻撃の可能性があるとみている。
カービー氏によると、1つ目の爆発は空港の入り口の一つである「アビー・ゲート」付近で起きた。国外退避を望む多くのアフガン人らが集まっていた場所だ。

アビー・ゲートから数百㍍の距離にある「バロン・ホテル」の敷地内またはホテル周辺でも爆発が起きた。バロン・ホテルは外国人の利用が多いとされる。米軍は19日、ヘリコプターを使って同ホテルから169人の米国人を空港に移動させていた。
カービー氏は声明で「多くの米兵が死亡した。多くの米兵が負傷し、治療を受けている」と説明した。複数の米メディアによると、少なくとも米兵4人が死亡、3人が負傷した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは少なくとも60人のアフガン人が死亡したと報じた。
米国の在カブール大使館は26日、米国人に対して「空港への移動を避け、空港の入り口付近からも離れるべきだ」と米国人に勧告した。実行犯は明らかになっていないが、バイデン米政権は過激派組織「イスラム国」(IS)系のイスラム国ホラサン州(IS-K)が空港やその周辺でテロを起こす恐れがあると警戒してきた。
イスラム主義組織タリバンは同日の声明で「人々の安全に注意を払ってきた」と強調し、爆発事件を非難した。ジョンソン英首相は「(爆発は)我々の進捗を妨げることはない」として退避活動を続ける考えを強調。ドイツのメルケル首相も、退避への支援を続けると表明した。メルケル氏は28~30日に予定していた外遊を取りやめた。フランスのマクロン大統領は「米国と協調する」などと述べた。
日本政府は26~27日に同空港から邦人のほか、在アフガン大使館や国際協力機構(JICA)で働いたアフガン人らを自衛隊機で国外退避させる予定だった。カブールの空港には任務にあたっている日本の外務省職員や自衛隊員が計数十人規模でいるとみられる。
政府は自衛隊機3機を派遣しており、現地で260人の自衛隊員が任務に当たる計画だ。自衛隊の広報は26日夜、日本経済新聞の取材に「現地入りした自衛隊員に被害者が出たという情報は入ってきていない」と答えた。爆発を受けて退避が滞る可能性がある。
タリバンが8月中旬にカブールを制圧してから、空港周辺は国外退避を望む多数のアフガン人らが集まっていた。バイデン政権は空港で退避支援を行う米軍を31日までに撤収させる方針だ。
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アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧し、大統領府を掌握しました。米国は2001年の米同時テロをきっかけにいったんはタリバンを打倒しましたが、テロとの戦いは振り出しに戻りました。アフガニスタン情勢を巡る最新の記事をこちらでお読みいただけます。