日本の伝統素材を世界へ NYでファッションショー開催

【ニューヨーク=佐藤璃子】社団法人サクラコレクションは在ニューヨーク日本総領事館などと組み、米ニューヨーク市ブルックリンで愛知県の尾州再生ウールを生かしたファッションショーを10月8日に開く。日本各地の伝統素材を使った高級衣服を米国から注文できる仕組みもつくり、地方創生につなげる。
サクラコレクションは世界中の学生デザイナーや若手クリエーターに活躍の場を提供するため、日本の伝統素材を生かしたファッションショーを2012年から開いている。フランスやベトナム、マレーシア、タイなどで34回の開催実績がある。米国には22年に初めて進出した。今回のニューヨーク大会は東部ペンシルベニア州フィラデルフィアに次ぐ開催となる。
ニューヨーク大会はブルックリンにある日本食や文化の複合施設「ジャパン・ビレッジ」で開く。世界中の学生デザイナーから尾州再生ウールを用いたデザインを公募した。書類審査を通過したファイナリスト10組が作品を披露し、グランプリを決める。また世界のプロのデザイナーも10組参加し、西陣織や佐野藍など日本の伝統素材を用いた新しいファッションを提案する。当日は1000人以上の入場者を見込んでいる。
ファッションの中心地であるニューヨークと日本の伝統素材産地をつなぐ狙いもある。サクラコレクションでは日本の伝統布素材を生かしたデザイナー作品を専門サイトで注文できるシステムを構築している。イベントを通じて、米国のデザイナーや富裕層に関心を持ってもらい、新たな商流をつくりたい考えだ。海外から継続的な注文があれば、日本各地の素材生産者は潤う。
会場ではファッションショーに合わせて日本の文化や織物を紹介する場所も設ける。アートワークショップの開設や、伝統芸能アーティストによる三味線や尺八などの演奏が予定されている。