Netflix、100作チラ見せ 「再加速」へディズニー流も - 日本経済新聞
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Netflix、100作チラ見せ 「再加速」へディズニー流も

【シリコンバレー=佐藤浩実】米ネットフリックスが配信作品のファン育成に動いている。日本時間26日に大規模な視聴者向けイベントを開き「ブリジャートン家」や「コブラ会」といった人気ドラマの出演者らが100あまりの新作を披露した。競合の米ウォルト・ディズニーが得意としてきた手法を取り込み、会員拡大の再加速につなげる。

世界各国の土日に重なるように開いたオンラインイベント「TUDUM(トゥ・ドゥーム)」。「ブリジャートン家」でペネロペ役を演じたニコラ・コクランさんらが登場し、今秋から2022年にかけて配信する作品を次々と披露した。撮影現場を見せた「ウィッチャー」やオープニング映像を流した実写版「カウボーイビバップ」など紹介した作品数は100を超える。

ブラジルなどでは以前からファン向けイベントを開いていたが「世界規模で催すのは今回が初めて」とネットフリックスの担当者は言う。ユーチューブやツイッチなどを通じて配信した。ブラジルや韓国発の作品で出演者が「字幕を付けてみて」と促す場面も多く、世界での制作体制を通じて3時間のイベントに十分な量の独自作品がそろってきた様子を示した。

一方で、激しさを増す競争がファンづくりの試みを後押ししている面もある。

ネットフリックスの会員は6月末時点で2億918万世帯にのぼり、ディズニーの動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の約1.8倍、米ワーナーメディアの「HBOマックス」の4.5倍の規模だ。9月の米エミー賞では英王室を描いたドラマ「ザ・クラウン」で 作品賞を取り、サブスクリプション(継続課金)型の動画配信サービスでは頭一つ抜け出る。

ただ、4~6月の契約数の伸びは約150万件にとどまり、北米地域に限れば純減だった。「新型コロナウイルスの影響で外出できない間ずっと流していたので、見たい番組がなくなってきた」(30代女性)との声も上がる。契約を続けてもらうためには、面白そうな新作が継続的に出てくると伝えたり、制作秘話なども含めて幅広い作品を知ってもらったりする必要性が高まっている。

あの手この手でファン育成、ディズニーのおはこ

出演者や監督などがファン向けに新作を披露する試みは、ディズニーがかねて「D23エキスポ」と呼ぶ2年に一度のイベントで実施してきた。作品やキャラクターのIP(知的財産)の価値向上に寄与しているほか、「ディズニープラス」の開始を控えていた19年はイベント期間中に割安な価格で3年契約を受け付け、早期の会員基盤の確保につなげた。

娯楽業界に詳しい米調査会社モフェット・ネイサンソンのマイケル・ネイサンソン氏は「ネットフリックスはディズニーの『プレーブック(マニュアル)』を参考にしているようだ」と指摘する。ネットフリックスは6月にネット通販サイトを立ち上げ、ファンタジー作品「ウィッチャー」に登場するキャラクターのフィギュアやTシャツの販売に乗り出した。

8月にはポーランドでゲーム事業の試験を始め、人気ドラマ「ストレンジャー・シングス」のゲームを会員が無料で遊べるようにした。同作品は22年に新シーズンを配信する。テーマパークこそないものの、さまざまな商品や事業を通じてIPを育てる「ディズニー流」の試みを取り入れている。熱狂的なファンを持つIPをどこまで増やせるかが長期的な成長も左右する。

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