「ロシアに核移動の兆候ない」 ベラルーシ配備で米高官

【ワシントン=坂口幸裕】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は26日、ロシアのプーチン大統領がベラルーシへの戦術核配備で合意したと発言したことを巡り「ロシアが核兵器を移動させた兆候は見られない」と述べた。ウクライナで核兵器を使う動きもなく、米国の戦略核抑止態勢を変更させる必要はないと明言した。
プーチン氏は25日、ベラルーシに戦術核を配備することで同国と合意したと明かした。「米国は何十年も前から戦術核を(欧州の)同盟国に配備してきた」などと語り、米国への対抗措置だと強調した。ロシアは7月1日までに保管施設を建設する予定だ。
カービー氏は26日、米CBSテレビのインタビューでプーチン氏の狙いについて「ロシアの報道では英国が劣化ウラン弾を(ウクライナに)供与することと結びつけていた」と指摘。劣化ウラン弾が「核を成分とする武器だ」とするプーチン氏の主張には「放射性物質の脅威はない。ロシアも同様の弾薬を使用している」と反論した。
米国防総省は23日、米軍がシリア東部で親イラン組織を空爆したと発表した。過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討をめざす米軍など有志国連合の拠点が受けた無人機攻撃の対抗措置で、24日にはシリア北東部の米軍の駐留拠点がロケット弾で報復攻撃を受けた。
カービー氏は「少なくとも3つの過激派組織から反撃があった。軍人1人が負傷したが、被害はそれほど大きくはない」と説明した。「米軍とその施設を守るために、米国が追加の行動を取る可能性を排除するつもりはない」と唱えた。
バイデン米大統領は近く中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と協議する意向を示している。カービー氏は「バイデン氏は中国との意思疎通を維持するのが重要だと考えている。習氏と再び話し合いたいと望んでおり、その方向で動くだろう」と言及した。

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
■戦況
■マーケット・金融への影響
■ビジネスへの影響