コウテイペンギン、気候変動で絶滅の危機に 米当局

【ワシントン=赤木俊介】米内務省の魚類野生生物局(FWS)は25日、南極大陸に生息するコウテイペンギンを絶滅の危機にひんした生物として保護対象に加えると発表した。気候変動による生息域の環境変化で、個体数が2050年までに26~47%減ると予測した。
1973年に米議会が可決し、ニクソン大統領が署名した「絶滅危惧種保護法(ESA)」の対象にコウテイペンギンを加える。ESAは人間の経済活動や開発による環境破壊で絶滅の危機にひんした野生生物を保護し、個体数を増やす目的がある。今まで米国の国鳥であるハクトウワシのほか、ハイイログマといった希少生物の個体数回復に成功している。
繁殖や狩りに海氷を必要とするコウテイペンギンなど、極地に生息する野生動物にとって気候変動は危機的な状況を生み出す。
現在、コウテイペンギンの個体数は62万~65万羽と予測されている。南極大陸での分布はまだら模様だが、FWSはインド洋や太平洋に面する一部地域で個体数が9割以上減ると試算した。
FWSのウィリアムズ局長は声明で「気候変動は世界中の多種多様な生物に大きく影響を与えている」と説明。「コウテイペンギンを保護対象に加えることで警鐘を鳴らし、行動を促す」と述べた。