米首都、Amazonを独禁法違反で提訴 価格拘束の疑い

【ワシントン=鳳山太成】米首都ワシントンのラシーン司法長官は25日、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでアマゾン・ドット・コムを提訴したと発表した。ネット通販市場に出品する外部の企業に対し、他のサイトでアマゾンより安く売らないよう価格を拘束したと問題視した。
一審にあたるワシントンの裁判所に提訴した。アマゾンが米国で反トラスト法を巡って当局に提訴されたのは初めてとみられる。
訴状によると、アマゾンは、他のサイトで安く売った出品企業に対し、アマゾンのサイトから削除するなど「罰則」を科せる契約を結んだ。出品企業はどのサイトでも、アマゾンの手数料を上乗せした価格で販売することになり、値上がりによる不利益を消費者にもたらしたという。
ラシーン氏はアマゾンが他の通販サイトが安く売るのを阻止することで「ネット通販市場における競争を阻害し、独占を維持した」と批判した。アマゾンに対して法令違反が疑われる行為をやめるよう求めている。
アマゾンの広報担当者は声明で「販売者は我々のストアで提供する商品の価格を自分で設定している」と反論した。「司法長官は全く逆のことを言っている」と主張した。
米国では巨大IT企業への監視が厳しくなっている。これまで連邦政府の司法省や米連邦取引委員会(FTC)、複数の州の司法長官がそれぞれグーグルやフェイスブックを反トラスト法違反で提訴している。
今回のアマゾンの提訴に参加したのはワシントンのみで、提訴先もワシントンの裁判所だ。連邦政府や複数の州の司法長官が連邦裁判所に提訴したグーグルやフェイスブックと比べると、訴訟の影響は限られる。
アマゾンを巡っては欧州連合(EU)の欧州委員会が出品企業のデータの不正利用で警告を出すなど厳しい姿勢を示してきた。米国でもFTCがアマゾンを調査しており、議会でもアマゾンへの批判が高まっている。
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