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米国の対中法案、秋へ採決先送り 上下院の調整に時間

【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権と議会が超党派で成立をめざす中国対抗法案の採決が秋以降に先送りされることになった。半導体への補助金など重要な政策を多く盛り込むが、上下院で意見調整に時間がかかっているためだ。早期に成立するかどうかは米中の覇権争いや日本の戦略を左右する。

予算審議のために夏休みを特別に中断していた下院は25日、再び休会期間に入った。9月20日に法案の審議を再開する予定で、対中法案の今夏の成立は事実上消滅した。

法案の先行きは不透明だ。中国との競争に勝つため「包括的な法改正が必要」との認識では与野党で一致するが、審議した法案は上院と下院でズレがある。バイデン大統領が署名する前に両院で法案を一本化する作業が必要になった。

焦点は半導体だ。上院が6月上旬に可決した「米国イノベーション・競争法案」は生産や研究開発に520億ドル(約5兆7000億円)の補助金を投じる条項を含めた。一方、6月下旬に下院が通した同様の法案は半導体の予算を含まない。

インテルや台湾積体電路製造(TSMC)、韓国サムスン電子などメーカーに加え、アップルやグーグルなど需要家で結成した「半導体米国連合」は7月、520億ドルの「緊急予算」の速やかな成立を求める書簡を与野党の議会指導部に送った。

中国が巨額の補助金で半導体産業を育成する中、米国も安全保障の観点から12%に落ち込んだ米国の世界生産シェアを引き上げるべきだとの声が多い。半導体不足が続き、中国との経済関係が深い台湾や韓国に依存することに危機感もある。

ただ民主党左派が力を持つ下院は、大企業に税金をつぎ込むことへの抵抗感が強い。補助金の使途に厳しい条件をつけるべきだとの意見がある。

ハイテク育成策も隔たりがある。上院の法案は全米科学財団(NSF)に設ける新組織を通じ、人工知能(AI)や量子など民間の基礎研究支援に290億ドルを配る。下院の法案は132億ドルにとどまった。

上院の法案は個別の政策をまとめており、2000ページを超す。米政府当局者を台湾に長期派遣したり、2022年の北京冬季五輪への「外交ボイコット」を求めたりするなど、あらゆる対中政策を盛り込み、細部で下院議員の異論が残る。

下院ではアジア系への差別を助長するとの懸念から「反中国」色を薄めるべきだとの主張もある。上院に盛り込まれた条項のうち、超党派で意見が一致しやすいものを抜き出して先行させる案も浮上する。

共産党の一党独裁である中国は外国の制裁への報復に法的根拠を与える「反外国制裁法」など、形式上の審議で米国に対抗する法案を着々と成立させる。民主主義の米国は対中国の名目があろうとも議論に時間がかかる。長引けば覇権争いで後れを取りかねない。

対中強硬姿勢は与野党に共通し、法案が速やかに成立するとの期待があった。野党・共和党の議会関係者は「遅いペースに失望した。採決が22年にずれこんでも驚かない」と語る。9月にはインフラや気候変動などバイデン政権が重視する巨額の財政出動の審議が控えており、日程は窮屈だ。

法案の成立時期は日本の戦略にも関わる。日本政府も半導体産業の復活をめざして予算を積み増す。台湾や韓国、欧州連合(EU)など各国・地域もこぞって支援を打ち出す。足元は需給が逼迫するが、政策対応が遅れれば逆に供給過剰に陥りかねない。

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