フロリダ州、政治家排除のSNS企業に罰金 法案に署名

【ニューヨーク=白岩ひおな】米南部フロリダ州はSNS(交流サイト)を運営する企業が州議会候補者らのアカウントを永久凍結した場合に罰金を科す。24日にロン・デサンティス知事が法案に署名した。フェイスブックとツイッターが1月にトランプ前大統領のアカウントを凍結したことを受けた動きで、大手IT(情報技術)企業による投稿の監視を規制する初めての州となる。
法案は運営企業に対し、州議会などの政治家候補者をSNS上から追放することを違法とする。違反した場合、州議会選挙の候補者では1日当たり25万ドル(約2700万円)、それ以外の選挙では1日当たり2万5000ドルの罰金の支払いを運営企業に命じる。7月に施行する。
デサンティス氏は新たな法律が「シリコンバレーのエリートからの州民の保護を保証する」と主張し、「差別的な検閲」を行うビッグテック企業が責任を問われるようになると説明した。SNSの運営企業は1996年に成立した通信品位法230条で、利用者の投稿に対する責任を原則として問われずに済む一方、削除する権利も認められている。
法案では14日間までのアカウント停止やポリシー違反に該当する投稿の削除は認めるが、運営企業には投稿を削除するかどうかを決める方法の明示を求める。一定の規模を持つ報道機関のコンテンツを削除したり、優先的に表示したりすることも禁じる。
フェイスブックとツイッターは1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を受け、事件の扇動に加担したとしてトランプ氏のアカウントの永久凍結に踏み切った。有識者で構成するフェイスブックの監督委員会はアカウントを凍結した対応を支持する一方、無期限としたのは問題があるとして再検討を求めている。
フェイスブックやツイッター、グーグルなどが加盟するネット企業の業界団体「NetChoice」は、法案自体が表現の自由を規定した合衆国憲法修正第1条に違反していると批判している。同様の法案はテキサス州など複数の州で審議されており、共和党地盤の州を中心に規制の流れが波及する可能性がある。

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