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対強権主義、価値観超え結束 民主主義の影響力に陰り

岐路に立つG7(上)

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バイデン米大統領が主要7カ国首脳会議(G7サミット)の初日から呼びかけたのは、民主主義国との連携で得られる果実と恩恵だった。「世界中の地域に民主主義国との協力で得られる具体的な恩恵を確かめてもらう機会になる」「我々が何を提供できるか示したとき、間違いなく競争に勝ち続けられる」

打ち出したのは米主導のインフラ投資枠組みだ。アジア、アフリカ、南米などの「低・中所得国」への目配りを前面に出した。

呼びかけた相手は新興国の代表だ。正式メンバーではない新興5カ国(BRICS)のインドや南アフリカに加え、アフリカ連合(AU)やラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の議長国、インドネシアを招待した。

この姿勢はバイデン氏が2021年12月に開いた「民主主義サミット」から一変した。

人権と民主主義を前面に110ほどの国・地域を招いたものの、米国がふさわしくないと判断した国は除外した。アジアではタイやシンガポール、中東はアラブ首長国連邦(UAE)などが外れた。

「民主主義対権威主義の図式にはめ込むのは、終わりのない善悪の議論に足を突っ込む」。シンガポールのリー・シェンロン首相は5月の日本経済新聞のインタビューでくぎを刺した。

リー首相の警告の通り、ウクライナ侵攻が長期化するにつれ民主主義陣営には温度差が出てきた。各国の関心は価値観ではなく、より切実な食料やエネルギーに集まる。サミットではインドのモディ首相が「エネルギーは富裕層だけの特権であってはいけない」と注文をつけた。

根底には民主主義国そのものの影響力が弱まっている事実がある。スウェーデンの独立機関V-Demが3月に公表した調査によると、21年時点で世界人口の7割にあたる54億人ほどが非民主主義的な体制下にあるという。

「自由民主主義」と分類される国は12年に42カ国だったが、21年には34カ国まで減った。人口ベースでみると世界のわずか13%にとどまる。

中国とロシアはこの隙を突く。米国のインフラ支援に匹敵する投融資を中国はすでに実行に移している。

米調査機関エイドデータの集計によると、一帯一路を提唱した13年から5年間の中国の投融資額は4280億ドル(58兆円)。中国だけでG7の6000億ドル(81兆円)の7割を拠出する。

新興国からみれば、どちらか一方の陣営につくのは得策ではない。

サミット直前の24日、BRICSがオンラインで開いた拡大会合にはG7が招いたアルゼンチン、インドネシア両首脳の姿があった。アルゼンチンはその場で正式加入を希望した。

G20の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領はサミットを終えると、その足でモスクワへと向かい30日にプーチン大統領と対面する。G7がロシアを排除しても、新興国中心のG20は門戸を閉ざさない。

ウクライナ侵攻で力による現状変更が現実になった今、民主主義を掲げる先進国が築いた秩序は瀬戸際にある。新たな秩序づくりを主導するには新興国などの中間勢力をひき付けなければならない。G7はその役割を問われている。(マドリード=坂口幸裕)

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