バフェット氏の投資会社、逆風下で10兆円投資 22年

【ニューヨーク=竹内弘文】米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは25日、2022年12月期の年次報告書(アニュアルリポート)を発表した。株式や事業の投資に合計785億ドル(約10兆7000億円)を投じ、総資産に占める比率は08年の金融危機以来の水準になった。金融引き締めで株式相場が動揺するなか、積極的な投資が目立った。
キャッシュフロー計算書によると通期の株式取得額は679億ドル、事業投資額は105億ドルだった。合計は総資産の8.3%に相当し、同比率は米大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻した08年の11.5%以来の高さだった。
事業投資では保険会社アレゲニーを取得した。上場株投資では石油メジャーのシェブロンや石油・ガス大手のオキシデンタル・ペトロリアムを買い増すなどエネルギー銘柄への配分を強めた。相場下落を受けて22年末で保有する上場株の評価額は3087億ドルとなり、21年末時点に比べて419億ドル減った。
バークシャーの22年12月期決算は、最終損益が220億ドルの赤字(前の期は908億ドルの黒字)となった。米国会計基準では保有する上場株の評価損益を最終損益に反映する必要があり、期中の株価変動によって大きくぶれやすい。
投資評価損益を除いた独自指標の利益は前の期比12%増の307億ドルだった。保険事業が好調だったほか、期中にオキシデンタル・ペトロリアムを持ち分法適用会社にした影響が出た。
年次報告書に添えるのが恒例となっているバフェット氏の「株主への手紙」も公開した。株式市場が時に非効率となり企業の本質的価値を反映しなくなる点や、長期的な米国経済の力強さについて触れた。