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ロシア軍、チェルノブイリ通過 キエフへ最短経路狙う

【ワシントン=中村亮】ロシア軍はウクライナの首都キエフに向け、チェルノブイリ原子力発電所周辺を通過するルートを選んだ。キエフへの最短ルートだが、戦闘で原発に影響を与える事故などが起これば、兵士が放射性物質を浴びる恐れもある。ロシアによるリスクを冒す作戦はキエフを迅速に制圧し、ウクライナ政権を親ロシア派へ早期に転換させる思惑が透ける。

「ロシアはウクライナ政権を無力化し、自らの統治手法を植え付けようとしている」。米国防総省高官は24日、記者団に対してロシア軍がキエフに向けて進軍する意図をこう推測した。ロシア軍の地上部隊はすでにベラルーシからウクライナに入っており「キエフに向かって進んでいる」(高官)という。

ロシアのプーチン大統領が米欧に接近するゼレンスキー政権を転覆させ、ロシアに近い傀儡(かいらい)政権の樹立を目指しているとの見方が根強い。ロシアが侵攻を通じて殺害対象とするウクライナ人のリストを作成しているとの情報を米政府が入手したことも、キエフ侵攻で政変を画策しているとの疑念を深める根拠になっている。

キエフへのこだわりは進軍ルートにも表れている。キエフから北方に100キロメートルほどに位置するチェルノブイリ原発は1986年に爆発事故が発生し、半径30キロメートル圏内は立ち入り制限区域に指定されている。戦闘で原発が損傷すれば周辺に放射性物質が飛散してロシア兵に危険が及ぶ。

米戦略国際問題研究所(CSIS)は1月のリポートでベラルーシからキエフに進軍する可能性を指摘しつつも、チェルノブイリ原発周辺を迂回してキエフに向かう経路をメインシナリオとしてあげた。チェルノブイリ原発ルートについて「ゼレンスキー政権の裏をかいて進軍を早めるための経路」と分析した。プーチン氏はこの経路を選んでサプライズを狙ったとみられる。

チェルノブイリ経路を入念に計画していた跡もある。現地メディアの報道などによると、ロシア軍で放射性物質などを扱う部隊を極東地域からベラルーシに移動させていた。同部隊はウクライナ各地にある原発周辺で戦闘が起きた場合に備えて配置されたとの見方も多く、チェルノブイリ経路の通過が目的かどうかは定かではなかった。

ロシア軍は侵攻開始からわずか1日でチェルノブイリ原発を占拠したとされる。国際原子力機関(IAEA)は現時点で破壊や死傷者は出ていないと説明したが、ロシアがリスクの高い作戦を選んだのは明らかだ。

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ウクライナ侵攻

ロシアがウクライナに侵攻しました。NATO加盟をめざすウクライナに対し、ロシアはかねて軍事圧力を強めていました。米欧や日本は相次いでロシアへの制裁に動いています。最新ニュースと解説をまとめました。

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