米国・カナダ、領空にレーダー配備 中国気球問題受け

【ワシントン=坂口幸裕、ニューヨーク=大島有美子】バイデン米大統領とカナダのトルドー首相は24日、カナダの首都オタワで会談した。両国の領空に中国の偵察気球が飛来した問題を受け、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の監視体制を強化する最新鋭のレーダーを配備すると合意した。
バイデン氏はカナダ議会で演説し「カナダとの緊密なパートナーシップを維持し、両国民が安心して暮らせるようにする」と強調した。米国とカナダが共同運営しているNORADの防衛能力を増強するため、海底監視システムや最新鋭の戦闘機の受け入れ施設も整備する。
トルドー氏も「数十年にわたってカナダの防衛能力を強化するものだ。国境をより安全にし、人々の安全を守る努力を続ける」と訴えた。米軍は米国とカナダの領空に侵入した中国の偵察気球を米領空で2月に撃墜。これとは別に、米国・カナダ領空で飛行物体を撃ち落とした経緯がある。
首脳会談では中南米などからの不法移民対策で協力すると申し合わせた。不法移民が米国経由でカナダに渡るのを防ぎやすくする。米国は移民の難民申請を制限する方針を打ち出し、カナダでも社会問題になりつつある不法移民の急増に対応する。
双方の国境を越えようとする不法移民をそれぞれの国境で追い返すのを可能にする。カナダは1万5000人の移民を新たに合法で受け入れる人道プログラムを提供し、米国の受け入れ負担を軽減する狙いがある。バイデン氏は「米国とカナダは不法な越境を阻止するために協力する」と明言した。
首脳会談後に発表した共同声明では、中国による経済的な威圧や人権侵害などを挙げ「国際秩序への長期にわたる深刻な挑戦」に危機感を示した。「台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を確認した。両岸の問題の平和的解決を促す」とも記した。
ウクライナ侵攻を継続するロシアを非難した。「ロシアに経済的代償を科し続け、ウクライナへの揺るぎない支援を必要な限り維持する」と指摘した。
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