ゴーン被告の捜査、未着手 レバノン検事総長

【ベイルート=共同】元日産自動車会長カルロス・ゴーン被告の逃亡先レバノンで、検察当局が逃亡事件の捜査に着手していないことが分かった。ガッサン・オウェイダット検事総長が23日、共同通信との単独会見で明らかにした。日本側から捜査資料が届いていないことを理由に挙げたが、逃亡は「レバノンの法律を犯していない」とも述べ、被告の入国自体は合法だったとの認識を改めて示した。
会社法違反(特別背任)などの罪で起訴され保釈中だったゴーン被告が、日本を不法出国してから29日で1年。逃亡に関わったとして米国やトルコで関係者が拘束されたが、レバノン当局は被告本人の訴追に消極的とみられ、経緯の解明は進みそうにない。
オウェイダット氏によると、検察はゴーン被告と3度面会。初回は入国間もない1月9日で、国際刑事警察機構(ICPO)からの「国際逮捕手配書」の内容を通知した。その後、レバノンの法律で禁じられているイスラエル入国歴について事情を聴いた。3回目は12月中旬、フランス当局の聴取要請に対する意向を確認した。
ゴーン被告が会長だったフランス自動車大手ルノーの会社資金の不正使用疑惑を巡っては、フランス当局が捜査を本格化。被告はフランスの予審判事がレバノンを訪れて行う聴取に同意し、来年1月18日に実施が決まったという。
オウェイダット氏は、レバノン検察がICPOを通じ日本側に捜査資料の送付を3度求めたが、返答がないと説明。日本側から聴取要請はなく、日本への引き渡しは「全ての捜査終了まで判断できない」とも述べた。
ゴーン被告と妻キャロル被告のパスポートは当局が押収。出国は認められないが、他の行動に制限はない。
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