米GDP、10〜12月2.9%増 高インフレ下で堅調さ示す

【ワシントン=高見浩輔】米商務省が26日発表した2022年10〜12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比の年率換算で2.9%増だった。高インフレの下でも底堅い経済成長が続いた。先行きの景気後退懸念はなお強い。利上げを続ける米連邦準備理事会(FRB)の思惑通り、適度に経済を減速できるかが焦点となる。
市場予想は2.8%だった。22年7〜9月期の成長率は10月時点の速報値が2.6%で、12月の改定で3.2%に上方修正された。直近の2四半期とも米経済の地力を示す潜在成長率の2%程度を上回る伸びになった。
米景気を左右するのはGDPの約7割を占める個人消費だ。10〜12月期は前期比2.1%増えた。7〜9月期は2.3%増と、4〜6月期の2.0%増から加速していた。

家計が抱える現預金は22年9月末時点で5兆ドル(約650兆円)近くあり、新型コロナウイルス禍前の約1兆ドルから大きく膨らんだまま消費の余力となっている。労働市場では人手不足が続き、物価上昇を追いかけて高水準の賃上げも続くとみられる。
これから高インフレや利上げの影響がどこまで出てくるかを市場は注視する。米小売売上高は10月まで回復傾向が続いた後、11〜12月は前月比でマイナスに転じた。これまでの実質的な所得の目減りなどが響き、11月末のブラックフライデーや12月にかけてのクリスマス商戦は苦戦だったとされている。この減速ペースが当面の焦点となる。

利上げの影響をもっとも強く受けている住宅投資は26.7%減った。3四半期連続で2桁のマイナスだった。住宅ローン金利は11月にかけて上昇し、逆風が続いた。12月の中古住宅販売件数(年率換算)は前月比1.5%減の402万戸と約12年ぶりの低水準を記録した。
企業の設備投資は0.7%増だった。4〜6月期に0.1%増に落ち込み、7〜9月期は6.2%増に回復したが、持続的な改善を見込む声は少なかった。資金を借り入れる際の金利が高水準となっているためだ。景気後退の懸念も影を落とす。
輸出から輸入を差し引いた純輸出の動向も注目だ。輸出が1.3%減り、輸入は4.6%減った。輸入は7〜9月期に7.3%の減少に転じ、コロナ禍で世界経済に急ブレーキがかかった20年4〜6月期以来のマイナスだった。輸入の減少はGDPの計算上はプラスとなる。実際は米国内の需要減少を示す場合も多い。
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