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「株決済期間の1日短縮を」 米SNS株騒動で見直し論

【ニューヨーク=宮本岳則】米株式市場で、取引の成立から受け渡しまでの決済期間を巡って見直し論が浮上している。証券決済を手掛ける米証券保管振替機関(DTCC)は24日、現行の2営業日後から、翌営業日に1日短縮することを提案した。米個人投資家がSNS(交流サイト)上で結託し、個別銘柄を集中買いした問題で、決済期間の長さが株価乱高下の一因に挙げられており、米議会の関心も高まっている。

DTCCは24日に公開した報告書で、米金融界と規制当局は2023年までに決済期間の短縮を実現すべきだと主張した。現行の決済システムでは取引成立日(T)から2営業日後(T+2)に株式や代金のやりとりが行われている。DTCCの提案は現行制度よりも1日短縮して「T+1」にしようというものだ。短縮により証券や代金を受け取れないなどといった「カウンターパーティーリスク」を抑えられる。

1月下旬のゲームストップ株を巡る騒動をきっかけに、決済システムへの関心が高まっている。オンライン掲示板「レディット」上で個人投資家が結託し、ゲームストップ株などヘッジファンド空売り銘柄に買いをいれたところ、株価が急騰した。売買急増を受けてDTCCはスマホ証券ロビンフッド・マーケッツに対し、確実な決済を担保する「預託金」の積み増しを求めた。同社は資金不足に直面し、一部銘柄の買い注文受付を一時停止することで、積み増し額の減額をDTCCに認めてもらった。

ロビンフッドは買い注文停止措置の導入で厳しい批判にさらされた。1月28日に取引制限をかけると、ゲームストップ株など複数の規制対象銘柄が急落し、高値で買っていた個人投資家が損失を抱える事態になったからだ。

18日に開かれた米議会下院の公聴会でもこの問題が取り上げられ、ロビンフッドのブラッド・テネフ最高経営責任者(CEO)は謝罪に追い込まれた。一方で売買成立から決済までの「期間」が問題の一因だとして「リアルタイム決済システムを構築して欲しい」と訴えた。即時決済が実現すれば、急に預託金の積み増しを求められるリスクは減り、買い注文停止措置の導入は避けられるとの主張だ。

証券決済期間の短縮は古くて新しい課題だ。短縮にはシステム投資が必要になり、業界全体の支持がなければ前に進まない。ヘッジファンドを運営する米シタデルのケン・グリフィンCEOは公聴会で「我々はT+5からスタートし、いつかはT+0になる日が来ると思って30年がたった」と振り返った上で、まずT+1への短縮を提唱した。米下院は追加の公聴会で規制当局関係者を招致するとしており、証券決済システム改革が再び論点になりそうだ。

日本の株式市場の決済期間は19年にT+2に短縮された。世界の主要市場は17年までにT+2への移行を完了しており、日本は最後発だった。当時の短縮化議論では国際的な潮流に乗り遅れ、市場の競争力が低下するとの危機感があった。米国がT+1への移行に乗り出せば、欧州や日本でも決済システム見直し論が浮上しそうだ。

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