Microsoftの7~9月、11%増収 ドル高・PC不振で減速

【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトが25日発表した2022年7~9月期決算は、売上高が前年同期比11%増の501億2200万ドル(約7兆4200億円)だった。市場予想を上回ったものの、伸び率は過去5年間で最も低い水準にとどまった。クラウドサービスは堅調だったが、パソコン(PC)関連が減速し、円やユーロに対するドル高も逆風となった。
売上高は会社予想(492億〜502億ドル)の範囲内で、7月時点で予測していた「2桁成長」を維持した。アナリスト予想(496億ドル)も上回り、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は「企業向けビジネス全般で引き続き堅調な需要がある」と指摘した。前年同期にあった資産移転に伴う税効果がなくなり、純利益は14%減の175億5600万ドルとなった。
部門別では、クラウドコンピューティング基盤「Azure(アジュール)」などの売上高が前年同期比で35%増えた。企業向けの「Office 365」は11%の増収だった。営業支援に使う「Dynamics 365」などすべてのクラウドサービスをまとめた売上高は24%増の257億ドルとなり、全体の5割を超えた。
もっとも、為替の逆風は大きい。QUICK・ファクトセットによると、マイクロソフトの売上高のうち5割近くを米国外が占める。日本や欧州での収益がドル換算値で目減りしており、ドル高の影響がなければ、アジュールの売り上げは前年同期比で42%のプラスだったという。
経済減速の影響がすでに表れている事業もある。世界的なPC需要の停滞に伴い、PCメーカー向けの「ウィンドウズ」の販売額は15%減少した。ゲームコンテンツ事業も3%の減収となった。マイクロソフトは10月、端末部門などで人員削減を実施した。
サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「顧客がより少ないリソースでより多くのことをできるような支援に注力している」と説明した。景気後退に備える企業や経営者が増えるなかで、経費の抑制につながる提案を進めるという。
10〜12月期の売上高は523億〜533億ドルを見込む。前年同期比で1~3%増のプラスにとどまり、市場予想(561億ドル)も大幅に下回る水準だ。PCの買い控えでウィンドウズの販売額が30%を超える減少率となるほか、自社ブランドの端末「Surface(サーフェス)」の出荷減速も響くとみる。ドル高の逆風も続く。
業績見通しに対する悲観ムードが広がり、25日の時間外取引でマイクロソフトの株価は終値と比べて7%近く下げている。
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