/

米、銃規制強化めぐり議論再燃 相次ぐ銃乱射事件で

(更新)
コロラド州の事件現場近くで掲げられた銃規制を求める看板=AP

【ニューヨーク=山内菜穂子】米国内で銃規制の強化をめぐる議論が再燃している。22日に西部コロラド州での銃乱射で10人が死亡、16日には南部ジョージア州で8人が死亡するなど銃乱射事件が相次いでいるためだ。銃の規制強化を公約に掲げるバイデン政権はこれを機に規制を推し進めたい考えだが、共和党からの反対論は根強く、対策実現の見通しは立っていない。

ハリス副大統領は24日のCBSの番組で、民主党が過半数を維持する下院で11日に可決された2つの銃規制関連法案について上院での可決を強く求めた。2つの法案は、銃を購入しようとする個人を対象にした経歴調査を強化し、調査にかける期間を現在の3日間から10日間に延ばす内容。ハリス氏は「自分自身や他の人に危険であることが判明した人は銃を購入できなくなる」と法案の意義を強調した。

バイデン大統領は23日、コロラドでの銃撃事件を受けて銃規制の強化を訴えた=AP

銃規制を公約に掲げるバイデン大統領も23日、コロラド州での銃乱射事件を受けて「命を救う常識的な措置を講じるのに、1分たりとも待つことはできない」と語り、共和党の協力を求めた。また、殺傷能力の高い半自動ライフル銃など「攻撃用銃器」の禁止も呼びかけた。

銃規制は米国で長年の争点であり、議論が二分するテーマだ。米国は合衆国憲法修正第2条で武器を保有する権利を認めている。民主党は銃の購入者の調査の厳格化を主張する一方、共和党は保有の権利保護を理由に銃規制に反対してきた。強力なロビー団体である全米ライフル協会(NRA)は共和党の主要な支持団体でもある。

銃乱射事件が繰り返されるたびに、銃規制を求める声は高まるものの、共和党などの反対で対策は進まなかった。23日の上院司法委員会では共和党議員から反対論が続出。同党のテッド・クルーズ上院議員は「銃乱射事件がおきるたびに、殺人を止められない法案を提案している」と民主党を批判した。

米ニューヨーク・タイムズによると、2012年にコネティカット州の小学校で銃乱射事件が発生して以来、民主党が州議会で優勢を保つ13州で規制が強化された。共和党が優勢な14州では住民が銃を保有することを許可する法律を制定した。銃規制をめぐる党派の対立は地方レベルでも鮮明となっている。

新型コロナウイルス感染症の広がりをきっかけに、米国内では銃を購入する人が増えている。米民間調査会社の推計では、20年は19年に比べて6割増の約2300万丁が購入された。米メディアによると、コロナ禍での差別や暴力を警戒してアジア系や女性が購入する傾向も出ているという。社会的な不安が銃規制をめぐる議論に影響を与える可能性もある。

銃の保有を認める他国では銃乱射事件などをきっかけに規制を強化するケースが目立つ。オーストラリアでは1996年、35人が死亡した銃乱射事件の後、殺傷能力の高い銃器の販売や所持を原則禁止した。政府は100万丁以上を買い上げて処分した。2019年3月に51人が死亡する銃乱射事件がおきたニュージーランドでは、事件発生後すぐにアーダーン首相が銃規制の強化を表明。半自動小銃の販売や所持を禁止する法律を制定した。

カナダは20年4月、カナダ史上最悪とされる銃乱射事件が発生し、殺傷能力の高い約1500種類の銃器の販売や使用を禁止した。トルドー首相は「最短時間で最も多く人を殺害するための武器はカナダには必要ない」と述べた。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン