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米欧、中国仲裁案に懐疑的 米国務長官「だまされるな」

(更新)

【ワシントン=坂口幸裕】米国と欧州はロシアとウクライナに「停戦」を促した中国独自の仲裁案を懐疑的に受け止めている。双方に対話を求めつつロシアへの軍事支援を検討する中国への警戒を強める。停戦が一時的に終われば、ロシアが再侵攻に向けて軍事態勢を立て直す猶予を与えかねないとの懸念がある。

ブリンケン米国務長官は24日、ニューヨークで開いた国連安全保障理事会の閣僚級会合に出席した。ロシアを支える中国を念頭に「いかなる理事国もロシアを支援しながら、平和を呼びかけるべきでない」と述べた。

「一時的または無条件の停戦の呼びかけにだまされるべきでない。ロシアは戦闘を一時停止し、さらなる攻撃のために兵力を補うだろう」とも訴えた。ウクライナ東部紛争の停戦と和平への道筋を定めた2015年の「ミンスク合意」をロシアが一方的に破棄し、再び22年2月にウクライナ侵攻に踏み切った前例があるためだ。

中国外務省が24日に発表した仲裁案ではロシアとウクライナの双方に「停戦」を呼びかけ、対話を求めた。「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」と題する文章は合計12項目で構成し、「戦闘の停止」に力点を置く。国際社会が和平に向けて協力すべきだと指摘し、中国も関与を深める構えを示す。

欧州も疑心を抱く。北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は24日、訪問先のエストニアで「中国は信用されていない」と断言した。ロシア寄りとされる中国は仲裁役にはふさわしくないとの立場を明確にした。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長も同調した。

米国は中国が軍事転用できる部品をロシアに輸出していたと断定し、新たに殺傷力のある武器支援を検討していると分析する。ブリンケン氏は24日の米CBSテレビのインタビューで中国がロシアへの軍事支援を実行した場合の対応について「可能な制裁措置はいくつもある」と警告した。詳細は明かさなかった。

18日にドイツ南部ミュンヘンで会談した中国外交担当トップの王毅(ワン・イー)氏に、支援を実行すれば「米中関係にとって深刻な問題になる」と伝えたと改めて強調した。

ドイツ有力誌シュピーゲルは24日までに、中国企業がロシア軍に無人機(ドローン)を売却し、ロシアが自国で量産できるように部品や技術の供与も計画していると報じた。35〜50キログラムの弾頭を搭載でき、早ければ4月までに100機を納入する交渉が進められているもようだ。

中国外務省は24日、ドローン売却計画を「聞いたことがない」などと主張した。米政府は中国がロシアに殺傷力のある武器供与を検討している具体的な証拠を提示するため、機密情報を解除する可能性を探っているもようだ。

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