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米GDP6.9%増に加速 10~12月、個人消費が堅調

1~3月は再び2%台も

(更新)
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【ワシントン=鳳山太成】米商務省が27日発表した2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比年率換算で6.9%増えた。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ7~9月期の2.3%増から加速した。ただ高インフレが長引き、堅調な個人消費が先行き減速する懸念も出ている。

10~12月期の成長率は市場予想(5.5%程度)を上回った。21年は巨額の財政出動やワクチンの普及で経済活動が再開し、1~3月期、4~6月期はともに6%台を記録した。7~9月期は変異型「デルタ型」の感染拡大で減速したものの、再び持ち直した。

21年通年の成長率は5.7%で、レーガン政権の減税で景気が拡大した1984年(7.2%)以来の高水準となった。20年のマイナス3.4%から回復した。

成長加速の原動力となったのはGDPの7割を占める個人消費だ。10~12月期は前期比3.3%増と、7~9月期(2.0%増)から加速した。全米小売業協会によると、11~12月の年末商戦売上高は前年同期比14.1%増の8867億ドル(約100兆円)と金額、伸び率ともに過去最大だった。

現金が潤沢な家計が消費を後押しした。米ムーディーズ・アナリティクスの推計ではコロナ下で生じた「過剰貯蓄」は11月時点で2.6兆ドルと、GDPの1割強に相当する。失業率は12月に3.9%に低下し、平均時給は前年同月比4.7%上昇した。

民間設備投資も2.0%増で加速した。住宅投資は0.8%減と3四半期連続でマイナスだった。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは7.0%上昇と、1981年10~12月期以来の高い伸びを示した。

一方、新たな変異型「オミクロン型」の流行などを背景に、22年1~3月期のGDP成長率は2%台に再び減速すると市場は予測する。

年末以降に感染者が急増し、外食や旅行などサービス消費は再び冷え込んだ。英調査会社STRによると、米国のホテルの稼働率は22年1月15日までの1週間で49%と、21年11月の60%前後から下降傾向が続く。

オミクロン型の感染拡大は人手不足にも拍車をかけている。米国勢調査局が21年12月29日~22年1月10日に実施した家計調査では、労働力人口の5%にあたる875万人が感染や看病を理由に働きに出なかったと答えた。米ユナイテッド航空は11日、従業員約3000人が感染し、減便すると明らかにした。労働市場の逼迫が続けば、賃金上昇を通じてインフレ圧力が高まる。

高インフレが長引き、消費を控える動きも出ている。米消費者物価指数(CPI)上昇率は21年12月に前年同月比7.0%と、39年半ぶりの高水準になった。ウクライナ情勢の緊迫でエネルギーの値上がりが続けば、ガソリンなど生活必需品への需要を直撃する。

米ミシガン大学がまとめた22年1月の消費者態度指数は68.8と前月比1.8ポイント下がり、過去10年で2番目に低い水準を記録した。高インフレの負担が重い低所得者層で大きく落ち込んだ。

同大学の調査では22年に「物価上昇が所得増を上回り、実質所得が減る」と予測した人が48%に上る一方、「実質所得が増える」との回答は17%だった。高インフレが所得を目減りさせるとの見方が、個人消費の先行きに影を落とす。

22年は財政刺激の効果も薄れる。バイデン米政権は21年3月、1.9兆ドルのコロナ対策法を成立させて1人最大1400ドルを配ったが、反動が見込まれる。低所得の子育て世帯を支えてきた毎月の給付も12月で失効した。米ブルッキングス研究所はGDPの押し上げ効果は22年には2ポイントと、21年から半減すると試算する。

コロナの影響が和らぐのは2月以降との見方が多い。新規感染者は1月中旬に平均約80万人でピークに達した後、急減している。サービス消費が戻ったり、感染を理由とした人手不足が和らいだりする可能性もある。

国際通貨基金(IMF)は25日改定した世界経済見通しで22年の米国の成長率を4.0%と、21年10月の前回予測から1.2ポイント引き下げた。物価上昇率が22年10~12月期に2%台に下がるとみていたが、4%台へ上方修正した。米政府の景気刺激策と米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和が同時に終わり、22年の米経済には逆風が吹く。

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