Microsoft、売上高2%増どまり PC低迷・クラウド減速

【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトが24日発表した2022年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比2%増の527億4700万ドル(約6兆8600億円)だった。伸び率は約6年ぶりに10%を下回り、市場予想にも届かなかった。パソコン(PC)関連が低迷したほか、成長を支えてきたクラウドサービスの減速も目立った。
売上高は会社予想(523億〜533億ドル)の範囲内だが、アナリスト予想(530億ドル)を下回った。増収率は17年以降で最も低い水準だ。純利益は12%減の164億2500万ドルで、1株利益は市場予想を上回った。

クラウド基盤「Azure(アジュール)」の売上高は前年同期比31%のプラスで、企業向けの「Office 365」は11%の増収だった。営業支援に使う「Dynamics 365」などすべてのクラウドサービスをまとめた売上高は22%増の271億ドル。比較可能な18年以降で最も低い伸び率となった。
エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は同日の説明会で「12月にかけて業績に弱さが出てきた」と述べた。景気後退の懸念が強まるなかで、IT(情報技術)投資を見直す企業が増えている。Azureの利用量の伸びが鈍化したほか、Office 365などでは新規の案件が「期待を下回った」という。
世界的なPC需要の冷え込みも響いた。PCメーカー向けの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」と「Surface(サーフェス)」など端末の売上高はそれぞれ、前年同期と比べて39%減少した。新型コロナウイルス禍でPCを買い替えた人が多く、OSや端末の販売が振るわない状況が続いている。
サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「顧客が技術への投資を通じてより多くの価値を得られるよう支援するとともに、コスト構造を収益成長に合わせていく」と述べた。マイクロソフトは従業員の5%弱にあたる1万人の削減を決めた一方で、23日には文章や画像を生成する人工知能(AI)を手がける米新興企業のオープンAIに数十億ドルを投資すると発表した。
23年1〜3月期の売上高は505億〜515億ドルを見込む。前年同期比で2〜4%増の水準にあたり、1桁台の低成長が続く見通しだ。24日の時間外取引でマイクロソフトの株価は一時急騰したものの、説明会でクラウド需要の減速が明らかになったことで終値を下回る水準に落ち込んだ。
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