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Windows11はクラウドの玄関 Microsoft、新OS発表

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Windows11ではアンドロイドアプリを使える。写真中央は「TikTok」

【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトが6年ぶりにパソコン向け基本ソフト(OS)を刷新する。24日に発表した「Windows(ウィンドウズ)11」はクラウドコンピューティングへの玄関口という位置づけを明確にした。2021年後半に一般提供を始める「11」の成否はOSにとどまらず、クラウド覇権の行方も左右する。

24日の発表会の終盤、最高製品責任者(CPO)のパノス・パネイ氏はウィンドウズ11のタスクバーから短編動画の投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を起動してみせた。踊る男性が映った縦長のスクリーンは、スマートフォンの画面そのものだ。

ウィンドウズ11は、米グーグルが開発したスマホOS「アンドロイド」向けのアプリを利用できるようになる。アンドロイドアプリのストアを運営する米アマゾン・ドット・コムとの提携によって実現した機能で、パソコンでの作業中におなかが空いたときの料理宅配の注文やライドシェアの予約を慣れ親しんだスマホの操作でできる。

ウィンドウズの魅力を高めるための節操ない動きに見えるが、他の変更点を見るとマイクロソフトが重視している点が浮き彫りになる。わずかな操作で「チームズ」のビデオ会議を起動できる機能や「Xbox」のアプリを通じたゲーム、別の端末で直前に編集した「ワード」や「エクセル」をスタートメニューに表示する試み――。共通するのは、クラウドの存在だ。

「ウィンドウズ11を特別にするうえで、クラウドは欠かせない」。日本経済新聞の取材に応じた担当CVPのユスフ・メディ氏はこう言い切る。13億台を超える現行OS搭載機の多くは無償更新できるにもかかわらず「世代交代」と位置づけたのも、OSとクラウドの融合で使い勝手が大きく変わるとみるからだ。

現行OSの「ウィンドウズ10」を初披露した14年、クラウドはマイクロソフトを象徴する事業ではなかった。同年の年次報告書ではウィンドウズという単語が130回登場するのに対し、クラウドは87回。売上高の2割を稼ぐウィンドウズを重視するあまり、アマゾンなどの積極投資で急成長を始めたクラウドの世界に気づくのが遅れる要因にさえなっていた。

だからこそ、14年に就任して以来アマゾンを猛追し、マイクロソフトを名実ともにクラウド企業に脱皮させたサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)を市場は評価した。20年の年次報告書ではクラウドの登場回数は210回に増えた。同社は公表していないが、直近ではクラウド基盤「アジュール」の売上高がウィンドウズを上回るとみるアナリストもいる。

PC市場ではクロームの躍進が目立つ

ウィンドウズを取り巻く環境も変化した。今も年223億ドルを稼ぐ事業ではあるものの、米IDCによれば10年前に9割を超えていたパソコン市場でのシェアは20年に81%に下がった。特に1台300ドル以下の端末を求める学校では、当初からクラウド接続を前提とするグーグルの「クロームOS」の躍進が目立つ。クロームOSのシェアは11%で、米アップルの「MacOS」(8%)も上回る。

授業でクロームOSとグーグルが提供する文書や表計算サービスに親しんだ子どもたちが増えれば、大人になっても使い続ける可能性は高まる。同社も広告に次ぐ事業を育てるために企業向けのサービスを強化し、マイクロソフトの牙城の切り崩しを図っている。OSのシェア低下はインフラ、サービスともに育ててきたクラウド事業さえも揺るがしかねない。

クラウドでの競争力を守るために、同事業では競合するグーグルやアマゾンとも組み、新機能もクラウドとの融合を中心に据える。ウィンドウズ11はナデラ氏が就任以来掲げてきた「クラウド第一」が反映されたOSとも言える。はたして功を奏するか。24日、マイクロソフトの時価総額は終値ベースで初めて2兆ドルを突破した。

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