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SNSの多用「若者に重大なリスク」 米公衆衛生トップ

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【ワシントン=赤木俊介】米保健福祉省(HHS)のマーシー医務総監は23日、勧告書でSNS(交流サイト)には若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼす「重大なリスク」があると警鐘を鳴らし、さらなる研究と規制の検討を呼び掛けた。SNSの未成年への影響を踏まえ、米国全体で規制論が一層強くなる可能性もある。

SNSの利用は共通の趣味や価値観を持つ人と交流できるなどポジティブな側面もある。半面、SNSを1日平均3時間以上使う若者はうつ病のリスクが倍増するとマーシー氏は警告した。

マーシー氏は米国の公衆衛生政策を統括する。勧告書で「10〜19歳の若者は脳が発達段階にある」と指摘。10〜19歳の若者はリスクの高い行為を取る傾向にあるほか、うつ病をはじめとした心の病にもかかりやすいと説明した。

勧告書は「アイデンティティーや価値観が形成される思春期初期は、脳の発達が社会的圧力や仲間の意見、仲間との比較に特に影響を受けやすい」として、SNSの頻繁な利用が若者の感情や衝動に影響する可能性があると指摘した。

マーシー氏は若者向けのSNSコンテンツに規制をかける必要性を訴えた。暴力行為、薬物の使用、自殺に関連した内容を規制し、年齢に応じたコンテンツを提供するための法整備が必要だと勧告した。

米国では13〜17歳の未成年のうち、95%がSNSを利用する。多くのSNS運営会社は利用者の最低年齢を13歳としているが、実際は8〜12歳の子供のうち約4割がSNSを使っている。

米国では若者のメンタルヘルスが深刻な問題となっている。米疾病対策センター(CDC)が2月発表した調査によると、2021年には3割の米女子高生が「真剣に自殺を検討した」と回答した。SNSの多用はボディーイメージ(身体像)や自尊心の悪化につながるという研究結果もある。

米西部モンタナ州では17日、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の事業を全面的に禁止する法律が成立した。同法は「ティックトックは危険な行為を助長するコンテンツを未成年に提供した」と主張した。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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