国連総会が緊急特別会合 民間人への攻撃に非難相次ぐ

【ニューヨーク=白岩ひおな、吉田圭織】国連総会は23日、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる緊急特別会合を再開した。ロシア軍による民間人攻撃への非難や人道的影響への懸念の声が相次いだ。24日に民間人への無差別爆撃や爆発性兵器の使用への強い非難などを盛り込んだ決議案を採決する見通しだ。
決議案はフランスとメキシコが主導し、23日午後5時(日本時間24日朝)時点で90カ国以上が共同提案に名を連ねる。東部マリウポリなど都市包囲に触れ「人道的な状況をさらに悪化させている」としてロシア軍の撤退を求めたほか、ウクライナの核施設爆撃に懸念を表明する内容だ。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使はロシア軍が住民を安全に退避させる「人道回廊」を爆撃したと指摘し「ロシアは化学兵器や生物兵器の使用も計画している可能性がある」と警鐘を鳴らした。フランスのドリビエール大使は「ロシアによる侵攻停止だけが、さらなる人命の喪失を終わらせられる」と決議採択の重要性を強調した。
ポーランドのシュチェルスキ大使は「ポーランドではロシアによるウクライナへの軍事侵略の人道的な影響を国境でじかに目撃している」と話した。「国連総会は76年前、次世代を戦争の惨劇から救うと決めたが、現時点で我々は失敗している」と行動を求めた。
一方、南アフリカはロシアによる侵攻に言及しない独自の決議案を提案した。南アフリカのラマポーザ大統領はロシアのウクライナ侵攻は北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大が原因であり、ロシア非難は非効率的との立場を明確にしている。シリアのサバーフ大使は「人道問題の政治化は拒否する」と述べ、南ア提出の決議案への支持を表明した。
決議案はいずれも24日に採決される見通しだ。当初、フランスやメキシコは安全保障理事会での採決を目指していたが、拒否権を持つロシアの反対を想定し、総会での決議に持ち込んだ。2月28日~3月2日まで開いた国連総会の緊急特別会合では、ロシアのウクライナ侵攻の非難決議を141カ国による賛成多数で採択した。
ロシアはこうした動きに対抗し、23日の安保理会合にロシアによる侵攻に言及しない独自の人道決議案を提案した。理事国15カ国中、賛成票はロシアと中国のみにとどまったため、否決された。13カ国が棄権した。
ロシアのネベンジャ大使は「安保理が問題の解決に向けた決議案が採択できなかったのは残念だ」と述べた。中国の張軍国連大使は「長期的な解決策は、冷戦的な考え方を捨て、ブロック的な対立を避けるべきだ」と批判した。

ロシアがウクライナに侵攻しました。NATO加盟をめざすウクライナに対し、ロシアはかねて軍事圧力を強めていました。米欧や日本は相次いでロシアへの制裁に動いています。最新ニュースと解説をまとめました。
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