Microsoft、ChatGPTのオープンAI追加投資 数十億ドル

【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトは23日、チャットボットの「ChatGPT(チャットGPT)」を手がける米新興オープンAIに今後数年で数十億ドルを追加投資すると発表した。スーパーコンピューターを整備し、開発成果をクラウド上でのサービスなどに取り入れる。景気減速で従業員を1万人減らす一方、戦略分野である人工知能(AI)への投資は強化する。
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マイクロソフトは2019年と21年にもオープンAIに投資をしており、今回の追加投資を通じて「継続的な協力関係を拡大する」という。投資資金は大規模言語モデルを開発・運用するためのスパコンの拡充や人材採用などに振り向ける。米メディアでは投資規模について最大100億ドル(約1兆3000億円)との観測も出ていた。
オープンAIは「GPT-3」などの大規模言語モデルで知られるAIの研究開発企業で、起業家のサム・アルトマン氏らが15年に設立した。22年11月には質問に対して自然な文章で回答する「チャットGPT」を公開し、世界的な注目を集めている。進化の著しい生成AIの分野で先行する企業の一つだ。

マイクロソフトは19年に10億ドルを投資したのを皮切りに、オープンAIと協業を進めてきた。作りたいアプリケーションに合わせてAIが、プログラム言語で書かれた文字列であるソースコードを提案するサービスや、画像生成AI「DALL-E 2」を組み込んだデザインソフトを手がける。
1月には、クラウド基盤「Azure(アジュール)」でオープンAIの技術を使えるようにするサービスの本格展開も始めた。
サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は22年秋の日本経済新聞の取材で、今後10年で最も重要な技術について「疑いようなくAIだ」と述べた。追加投資を通じて、オープンAIの技術を広く自社の製品・サービスに取り込む狙いがある。文書・表計算といった「Office(オフィス)」製品や検索エンジン「Bing(ビング)」との連携も視野に入れる。
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マイクロソフトは18日、世界の従業員の5%弱にあたる1万人を削減すると発表した。技術職も含めて幅広い事業に及び、日本法人も対象となる。ナデラ氏は同日の従業員宛てのメモで、景気後退懸念に伴う売り上げ成長の減速とコスト削減の必要性を指摘しつつ、AIのような戦略分野での投資や人材採用については続ける方針を示していた。
これまでの報道では、マイクロソフトが最終的にオープンAIに49%を出資する株主になるとの観測も出ていた。著名起業家のピーター・ティール氏が率いるファウンダーズ・ファンドの参画なども報じられていたが、こうした詳細な条件については、明らかにしていない。
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